悪役令嬢に百合営業をしかけたら本気にされてペットにされました

本編

第1話 プロローグ

　それは本当に、突然のことだった。

　ありふれた始まり、ありふれた流れ。

　もしも過去の私にこのことを話したとしたら、よく見る設定だと笑い飛ばしたことだろう。

　いや、ある種の幻滅のようなものさえ抱いたかもしれない。

　それほどまでにありふれている、妄想のような出来事だ。

　ある意味不運ではあったのだろう。

　でも、そのことを悲しいとは思わない。

　私の身に起こったことはどこまでも喜劇的ではあっても、悲劇的ではない。

　なぜなら私は今、幸せだから。

　短絡的だが、それでもいいと思える。

　それが結末で結論だ。少なくとも私にとっては。

　始まりは本当にひどいものだったけれど、それは今とは関係ない。

　過去は過去だ。

　今が良ければそれでいい。それが私の人生だ、多分。

　異世界転生、よく見る話。

　でもこれは私の、私だけの話。

　誰にも文句は言わせない。

　人に誇れるかどうかっていうと……まあ、ちょっと微妙だけど。

　とにかくそろそろ始めよう、私の物語を。

　……タイトルで大体わかるかな？

　まあいいや。

　悪役令嬢に百合営業をしかけたら本気にされてペットにされました。

　始まります。