Case3-9 少女

 チカチカと


 世界が明滅した。


 床に足はついているはずなのに、ふわりと穴に落ちていくような不思議な浮遊感に体が乗っ取られる。


 少女は、すっかり蛇に気を取られて、行き止まりが間近に迫っていたことに気がつかなかったのだ。全速力のまま、真っ向から壁に突っ込んで行ってしまった。

 痛みを感じることはなかった。そこに辿り着くまでもなく、少女は目下に広がった底の見えない影の闇へと、その身を落としていったのだから――…。

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