最終話:ある旅人

数年後、白目の少女にまつわる噂は遠くの村や旅人の間にも広まりました。勇敢な者たちはその村に足を踏み入れ、白目の少女の呪いに立ち向かおうとする者もいました。彼らは村に生まれた悲劇を解き明かすため、あるいは自らの好奇心から動かされていたのです。


ある日、旅人の一団が白目の少女の村に到着しました。彼らは彼女の呪いの真実を探るため、勇気を振り絞りながら森の中へと進んでいきます。村は静寂に包まれ、不気味な気配が漂っていました。進むにつれて、木々の葉がざわめき、風が怪しく吹き渡ります。


旅人たちは森の奥にたどり着くと、そこには荒れ果てた村が広がっていました。家屋は朽ち果て、道路は草に覆われていました。まるでこの村が死んでしまったかのように、静寂と忘却が支配していました。


彼らは遺された痕跡を辿りながら、白目の少女の家に辿り着きます。建物は崩れかかり、蔦が絡みつきながらも残っていました。旅人たちは心を引き締め、その扉を開けます。


中には暗闇と薄汚れた空気が広がっていました。部屋には少女の幼い頃の写真が飾られ、彼女が生きていた証が残されていました。旅人たちは彼女が村人たちからどのような扱いを受けたのかを想像し、悲しみが心を満たします。


しかし、その時、旅人たちは急に気がつきます。部屋の奥に薄暗く光る白い瞳が浮かんでいるのです。驚きと恐怖に打ち震えながらも、彼らは白目の少女の姿に近づいていきます。


少女は静かに立っていました。彼女の瞳は光を失い、魂の奥底には深い哀しみが宿っているように見えました。旅人たちは彼女の存在が村にとどまる理由を探ります。


すると、少女は口を開き、か細い声で語り始めます。「私は悪魔の子ではありません。村人たちは私の瞳を理由もなく恐れ、私を殺しました。私の魂は憎しみと絶望に包まれ、村に呪いをもたらしたのです」と。


彼女の言葉に旅人たちは固唾をのみます。村人たちが本当に彼女を誤解していたのか、それとも彼女に何か邪悪な力があったのかを探りたくなります。しかし、彼らは白目の少女から伝わる力強い感情に共感し、彼女の叫びに耳を傾けました。


少女の魂は未だに村に縛られていました。彼女は愛する人々から奪われた生を取り戻すため、村人たちの魂を呪いとして縛り付けていたのです。白目の少女の眼には怨念の光が宿り、その光が村を蝕んでいたのです。


旅人たちは決意を固めます。彼らは白目の少女の魂を解放し、村に平和を取り戻すために戦う覚悟を決めました。彼らは力を合わせ、少女の魂を封じる呪文を唱え始めます。


激しい闘いの末、白目の少女の魂は解放されました。彼女の瞳から漂っていた闇が消え去り、村には穏やかな風景が戻りました。旅人たちは彼らの冒険の目的を果たし、平和を取り戻すことができたのです。


しかし、白目の少女の村に足を踏み入れる者は二度と現れなくなりました。彼女の物語は伝説となり、人々の心に深く刻まれることとなりました。そして、彼女の存在は悲劇の証として、世代から世代へと語り継がれることとなったのです。

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白目の呪い―闇と希望の村― O.K @kenken1111

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