魚人

@sokkou

第1話 魚人

国のために働く軍人がいた。彼は心から国を守るために働き毎日精進していた。そんなある時、彼は上官に呼ばれた。


「どうしたんでしょうか?」


「君に頼みたいことがある、もちろん絶対やれとは言わないが、話をとりあえず聞いてくれ」


緊迫した空気が流れる中、上官が話し始めた。

「私たちは、最近遺伝子操作の研究をしているのだが、ついに魚の遺伝子を人間に組み込む方法を発見したのだ」

「そこで、君に遺伝子を組み込み、言い方は悪いが、人間兵器として戦ってほしいのだ」

「最近、隣国との関係が悪化しているのは知っているだろう、もしも戦争になった時に確実に勝つためにはどうしても必要なのだ」


「なるほど・・・」


男はしばらく考え込んだが、覚悟を決めた声色で答える。


「分かりました、国の役に立つため、私の身を捧げさせていただきます」


「よく言ってくれた、君みたいな人が我が国にいることを誇りに思う」


「では、いきなりで悪いが研究所に今から行く」


「わかりました」


そうして研究所に向かうと、軍人は睡眠薬を投与され、起き上がった時には遺伝子操作の手術は終わっていた。

ここの主任が話しかけてくる。


「手術は成功だ、本当に君の英断に感謝する」


「私は国のために決断したのです、ところで、具体的には何が変化したのでしょうか」


「その説明は必要だったな、まず、サメの遺伝子によって、歯が人を食いちぎれるくらい鋭くなった、あとは他の魚の遺伝子も入れて、スピードも上がったし、暗いところで目が効くようにもなったし、水の中でも呼吸ができるようになったし、擬態能力や放電などもできるようになった」

「後は使うことはあまりないと思われるが、海洋生物全般との会話もできる」

「見た目は歯ぐらいしか影響がないから安心してくれ」


そんな話をした後、家まで車で帰された。

次の日は体に馴染むかの確認で、少し外に出かけてみてくれと言われたので海に出かけることにした。

そうすると、砂浜で亀をいじめる子供がいたため、注意をして追っ払った。

そうすると、亀がこっちをみて喋り始めた。


「助けてくれてありがとうございます、あなたにその言葉を伝えてもわからないと思いますが」


「いや、わかるぞ、訳あって海洋生物と会話ができるんだ」


「なんと、それならぜひお礼をさせて下さい」


外に来たはいいもののやることのなかった私はお礼をもらうことにした。


「それでは私の背中に乗ってください」


亀がそう言うので甲羅の上にそっと跨ってみると、急に眠りに落ちてしまい、起き上がると城のような場所についていた。


「ここはどこだ?」


「竜宮城です、後、他の人間にこの場所の行き方が漏洩すると大変でしたので、少々手荒ですが眠らせました」

「説明もなしにいきなりすみません」


「いや、それはいいんだが、ここで何をするんだ?」


「ここに数日泊まっていってください、最高級のおもてなしをしましょう」

「ですが、今日は準備をしますので、軽い食事をして休んでもらいます、せっかく来てもらってすぐにお礼できないのは申し訳ないのですが」


「わかった、明日を楽しみに待つことにしよう」

そうして、次の日の夜になり宴会が始まった。


「どうぞ、好きなだけお食べください」

そうして前に出されたのは大量の海鮮であったが、男にはひとつだけ気になるものがあった」


それはフカヒレスープである。


魚同士でも生きてくために食べるのはわかる、だがこの部分だけのために同胞を殺されたという気持ちが男の心に湧き上がり、一気に怒りが込み上げて男は暴れ始めた。


サメの遺伝子のせいでたぎりにたぎり、様々な生き物の能力を持ち合わせる男を止めれるものはいなかった。


たちまち竜宮城は崩壊し、男は助けた亀に地上に帰すように言い地上へと戻った。


その頃には少し冷静になってきて、海鮮はものによって感情が抑えれなくなるということを上官に伝えなければならないと考えていた。 


そうして地上に帰ってくると、そこには見慣れない風景が広がっていた。


亀に聞く。


「一体どういうことだ」


「竜宮城での一日はこちらの世界で100年なのです」


「なんだと、俺を騙しやがったのか」


そう言うと男は怒りのままに亀も殺してしまった。


しかし、このままでは大変なので周りに今のこの街のことを聞こうと思った。


「ここはどこでしょうか?」


そうすると、恐ろしい答えが返ってきた。


「ここなら、B国です」


隣国の名前なのだ。


男はとても信じられないため聞き返した。


「それは隣国でA国でははないんですか?」


「はは、なにかテレビの企画ですか、それなら大体100年くらい前の戦争で敗戦して領地を無くしたじゃないですか」


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