能力もない彼は視覚、聴覚、声を失う呪いをかけられ追放されました。数時間後、彼を追放した国が滅びました。

牧村和樹(グレイレッド)

第1話 彼女という名の存在

「やあやあ暇?」

「!?」


 彼は彼女の声が聞こえたことに驚いた。


 彼の今の現状は全く目も見えず耳も聞こえない状態だ。


 だから、誰かの声が聞こえることがおかしい状態である。


 どうして、彼がこんな状態になった理由は追放されたからだ。


 彼は高校で授業受けていたらクラスごと転移された。


 そこから王女が表れて状況説明して鑑定が始まった。


 彼は鑑定の結果、能力が何もないことがわかった瞬間、王女の顔色や表情が変わった。


 彼は突然兵士に体をおさえつけられて何かが触れた瞬間に何も見えなくなり音も聞こえなくなった。


 そこからわからないままどこかへ連れてかれて今に至る。


「やあやあ、聞こえてるだろう」


 彼女の声が空耳でもなく聞こえた。


「?」


 彼はどう反応すれば良いかわからないままキョロキョロと首を振ったりする。


「うむうむ、しっかり声は聞こえてるようだな」


 彼女は彼の行動や反応を見て納得しているようだった。


「……?」


 彼はどうすればいいかわからない状態になる。


「改めて聞くが暇か?」


 彼女は彼の様子も気にすることなく質問する。


「?」


 彼は質問に返せずにどうすればいいかわからない様子になっていた。


「ふむふむ、そうか少し待っていてくれ」

「?」


 彼女がいい終えると静かになった。





「……」


 静かになり無音に支配される。






「……」


 先ほどの話し声は夢だったのか?と思い、冷たい床に座る。




「……」


 いったいどうなるんだろうと考え始める。












「ただいま」

「!?」


 彼女の声が再び聞こえて、彼は驚いて立ち上がった。


「ごめん、ごめん、遅くなったな」


 彼女はマイペースに話をする。


「?」


 彼もゆっくりと呼吸をして落ち着いていく。





「さてさて改めて暇か?」


 彼女は質問する。


「……暇と言われても!?」


 彼は言葉を話せることに驚いた。


「よしよし」


 彼女は満足した声が聞こえた。


「喋れるようになっている」


 彼は言葉を出せること喜び始めている。


「君が何かをしてくれたの?」


 彼は話をする。


「うむ、そうだ」


 彼女は答える。


「いったい何をしたの?」


 彼は何をしたのか気になり質問した。


「え?君の呪いを解くために呪いをかけた人に会いに行ったのよ」


 彼女は答える。


「それで、呪いを解くために」


 彼は彼女が呪いを解くために王女様にお願いして解いてくれたのかと思った……が。













「君の呪いを解くついでに暇潰しに国を滅ぼしてきました」


 能天気な声で彼女は言った。

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