後編

第9話

 あれから数日。

すっごく気まずい。

勢い余って言ってしまった。

 ソフィアはなんともなさそうな顔なのがムカつく。

僕だけ意識してるみたいでなんか癪に障る。

 「ソフィア。」 

 「はい。」

 「……。」

 呼べば丁寧に作業を中断してくる。

 「どうしたのですか?。」

 「ん…。」

 要求すれば応えるのなんかやだなぁ。

 「ん。皿洗い終わったら膝枕して。」

 「はいはい。」

 ついイラつきながらわがまま言ってしまった。

ごめんソフィア。


 そして膝枕。

自分でやったとはいえ意識しすぎ。

なにこれ。

 「ん?。」

 「いえなんでも!?。」

 顔を合わせられない。

なにこれなにこれ。

 「顔赤いけど大丈夫ですか?。もし体調が悪いなら…。」

 「だ…大丈夫…。」

 僕慌てて自室のベッドに駆け込んだ。

僕ここでソフィアにキスを…。

今更羞恥的な後悔が僕容赦なく襲う。

顔が火照る。

なんか身体も火照る。

僕はどうしたら良いのだろうか。

もうわからなくなった。

ふて寝。




―――――




 あの夜から数日が経った。

ユイはなんかよそよそしく私を見ている。

私見てびっくりしたり。

 (かわいい。)

 照れたり。

 (かわいい。)

 膝枕要求したり。

 (何だこのかわいい生き物。)


 慌てた逃げたユイは自分の部屋で寝ている。

 「ふっ…。」

 頭を撫でた。

ユイが何を背負っているのか分からない。

私にできるのはただ寄り添うだけ。

私は迷っていたのにユイはあんな行動に出たのは、きっと、私を後悔で押しつぶさないため。

だから私もできる限り応えなくてならない。

 ふと自分の唇を撫でた。

あの時の記憶が蘇る。

 (甘かった。)

 綺麗な寝顔。

私はできる限りのことをしよう。

ユイに嫌われないためじゃない。

側にいて安心できる存在に。

だからおやすみなさい。

 「ちゅっ…。」

 寝顔にキスなんて春樹にもやったことないのに。

これは私の責任。

ユイがここから笑顔に。

幸せに生きていけるために。

おやすみなさい。私のお嫁さん。

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