第3話
冬休みも終わり。終わった。
クリスマスから年末年始があまりにも濃く。
いつもより長いようで短く感じた。
そんなこんなで教室に到着して席につく。
僕の席は窓側の前から2列目。いわゆる主人公席という場所にある。
「おはよう。」
前の席から良い音色の声が聞こえる。
「おはよう。あおい。」
僕に声をかけたのは《雪風あおい》。元中学生アイドルであり、色々な縁もあって今は良い親友として共に過ごしている。
少し顔を見る。今日はメガネらしい。
彼女は気分でメガネとコンタクトを使い分ける。
「久しぶりにユイに会うからね。最高の解像度で見たいしたいのよ。」
どうやら目の保養してるみたいだ。まあ親の実家の親戚周りでだいぶヘタったらしいことを質問もしてないのに愚痴ってきた。まあ気持ちは分ける。僕も前世ではそういう気持ちもあった。だが縁も大事だぞ。
「そんなことよりも…。」
そんなこととはなんぞ。
「ユイ…また大きくなってない…。」
あぁ。わかるか。わかるよね。
今すっごく胸が窮屈だもの。えぇ。
前世で地味に憧れていたジャンスカの制服着れたのは良いのだけれど。
……。
年々胸がキツくなっていくのよね…。
入学当初は余裕あったのに、今は圧迫が強くて胸の辺りの生地がすごく張ってる。
「若干苦しい。」
「羨ましい文句を言うでない。」
と背後に回ってくるあおいを視線で追うが。
「おりゃ。」
「ひゃん。」
揉まれた。揉まれましたとも。
「……。…大きくなってコノヤロウ。」
「…//…別に…大きく…ん//…なりたくて…///…ひゃん//…なった訳じゃ…//…んんっ...///。」
こいつ日に日に揉み方が上手くなってる気がする。
頭が少しふわっとして。なんか…。足もついすり合わせちゃうし。
「今日はこのくらいにしてやろ。」
「んっ...///。はぁ…//…はぁ…//…ん…。」
こやつめ。思わつ右手が胸を覆い、左手の拳で口を塞いだ。
まあこういうことはこのクラスでは恒例行事なので皆は気にし…してるなこれ…。男子はもとより、女子にも若干その毛色の娘がチラホラと。ナマモノはやめたまえよ。
「全くあなたはいつもいつも…。」
「そこにあったから揉むでしょ。普通。」
「揉みません。」
「おはようソラ。」
「おはようございます。ユイさん。」
軽くお辞儀をする可憐なお嬢様は《天城ソラ》。
腰まで伸びる薄い青の金色の髪は正しくお嬢様
といった風格で。僕も最初は見惚れたものだ。
彼女と知り合って今こうして友達として話してるきっかけはものすごくよくあるイベント。
中学一年の時の定期試験の時で。僕はその時体調を崩し、後日試験をすることになったが。
いるのだよソラが。
春の定期試験にものすごく体調が良く、好成績を収めのが彼女の癪に障ったらしく。わざわざ同じ土俵で戦いに出たのだ。いや普通に試験を受けろよ。
つまりよくいる負けず嫌いの良い子なのである。
「それで実際のところ感触はどうでしたの?」
「それはもう程々に心地よく。」
おい。
また騒がしい学校生活が始まることに胸を踊らせながら朝礼のために皆と体育館に向かった。
―――――
「うちの中学制服って凄くHじゃない?」
「真顔で何言ってんだこいつ。」
私の学校生活の第一声は変態の戯言と愚者のツッコミから始まった。
ツッコミ入れたメガネをかけた娘は《真希波マヤ》。私の唯一の友達である。
「色々あったから深くは聞かんが。何があった変態ロリコン女神よ。」
「うぐっ!」
刺さる。刺さった。
そういうこと言われるのはわかってた。
それでも私のユイちゃんへの愛は辞められんのよ。
のでこれまで経緯と私の思いを話した。
「つまり君はユイのことを愛玩動物としてみてると…。」
「……。」
反論は出来ない。無いと言えば嘘になるから。
「まあ。気持ちは分からなくないけど。あの娘だって普通の人であるわけで。」
そう。
「そういう娘は君が思っている以上に周りを見ている。」
知ってる。
「だからその娘のことはしっかり見ておけ!。後悔することになるぞ。」
わかってる。わかってたはずなのに。この忠告をしっかり心に留めて置かなかったことを数ヶ月先で現実になってしまうのはまだ先の話し。
>こっちはHR終わったよ
>では教室で待っていてください
休み明けの最初の帰りのホームルームが終わり。携帯でお互いに登録してるSNSにメッセが届く。
「愛しのお姫様が呼んでおりますかな。」
「そうですけど。」
マヤが笑顔でからかってくるので見下す視線で牽制する。
「おう怖い怖い。」と反応する彼女を教室に置いていき、私はユイちゃんのいる中学棟へと向かった。
うちの学校は中高一貫であるものの。元は別々の学校を統合した学校であるため。同じ市地内にあるものの、若干遠い距離感である。
中学棟3階。〔C3-b〕の札がぶら下がっている教室に着いた。
ユイちゃんは友達と一緒に楽しく談笑している。尊い。
「ユイ帰りますよ。」
「はーい。」
大きく手を振って返答している。可愛い。
「帰りましょうか。」
「うん。」
笑顔が可愛い。
「久しぶりの学校はどうでしたか。」
夕陽が優しく包む帰り道。
「うん。楽しかったよ。」
夕陽に照らされた白いユイちゃんの顔は今日も尊く。綺麗だった。
「はあ。疲れたー。」
手を交差させ、引っ張りあげるように空高く伸ばす。
それにつられて制服も若干上がる。
腕を下ろし、一息着いた後に、私を見た笑顔のユイは今でもよく覚えている。
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