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(恥ずかしい!やっぱり勘違いだった~~~~!)
(でも、でも!いくら幼馴染とはいえども、夜会では毎回エスコートしてくれたり、ドレスを贈ってくれたりしたし、毎月末にお気に入りのパティスリーで売られる期間限定のケーキは絶対一緒に食べに行ってくれたり、観劇を見に行ったりしたことだってある!ずっと昔に渡した髪飾りだってまだ着けてくれているし!こんなの、勘違いしちゃっても仕方なくない~~~~~!?)
ルフェルニアは顔から火が出る思いだった。ユリウスの居室から自身が暮らしている王宮内の文官の寮までの帰路を、今までで一番の速度で歩く。
(恥ずかしいし、悲しいけど…もう片方の目的は果たせるわ。)
ルフェルニアとユリウスは小さいころに3年ほど田舎にあるルフェルニアの実家・シラー子爵の屋敷で一緒に暮らしていたことがある。それ以降、交友関係は続いており、お互い婚約者がいないまま、はっきりとはしない関係が続いていた。
今やこのガイア王国においても、女性の社会進出が進み、結婚適齢期が昔より遅くなったからと言って、22歳のルフェルニアはそろそろ行き遅れと言われる年齢だ。
ルフェルニアはユリウスがずっと好きだった。
ユリウス・ミネルウァは、光り輝くプラチナの髪と、美しい空色の瞳をもった青年で、その美貌は国一番と社交界で広く噂されている。
さらに、ミネルウァ公爵家は、ユリウスの大伯父が王に即位した際、王がユリウスの祖父に領地と爵位を与えてできた公爵家だ。歴史は浅いが、その保有する豊かな領地と、血筋から、莫大な資産と影響力を持っている。この公爵家の跡取り且つ25歳という年齢で婚約者がいないことなどから、周りの女性たちがユリウスを放っておくはずもない。
しかし、ユリウスが恋愛感情を持つ女性を仕事でもプライベートでも近寄らせないことを知っていたから、ルフェルニアは自身の想いを今まで黙っていたのだ。
(これ以上年齢を重ねたら、本当にお嫁に行けなくなって、家族に迷惑をかけてしまうもの。跡継ぎである弟なんて、私の婚約者が決まるまで、自分も婚約もしないなんて言っているし…。やっぱり私なんかユリウス様に釣り合わないし…スッキリしたわ!早速、寮内のみんなにも知らせなきゃ!)
次期公爵であるユリウスが必要以上にルフェルニアを構うからか、ルフェルニアには全く縁談の話が来ない。王家の覚えもめでたいミネルウァ家を敵に回してまで、黒髪・黒目の地味な見た目で生家もぱっとしないルフェルニアに、縁談を申し込む者などいなかったのだ。
ユリウスがルフェルニアをフッたことが周りに知られれば、もしかしたら縁談が来るかもしれない。ユリウスにフラれて心機一転、未婚男性にアタックしたら靡いてくれる人がいるかもしれない。
ユリウスが告白に応えてくれればそれ以上の幸福はないが、やはりそれは夢のまた夢。
この告白はフラれることで気持ちに区切りをつけ、次のステップへ進むためのものでもあった。
明日と明後日は週末で仕事がお休みだ。きっとこの話しは週末に浮き立つ文官仲間の丁度よい酒の肴になることだろう。ルフェルニアは悲しい気持ちを押し殺して、自分がフラれたことを文官仲間に知らせに行くのだった。
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