第4話

なんだか声が聞こえるような……温かくて目を開けたくなくなるのうな心地良さを堪えてソッと目を開く。

あれ?私さっき書籍部屋にいて…

シャンドラが来たと思って……ここはどこなのかしら。


何処と無くジェノシーに似て緑が沢山で美しい湖のある風景になんだか懐かしい気持ちになる。


私…もしかしてとうとうシャンドラに殺されちゃった!?


「あー!ナーシャ。やっと起きた!」


2匹の大きな猫のようなふわふわの生き物が私を覗き込む。



なんて大きい可愛い猫さんなの!?

思わず抱きつき「ふわふわで温かい!可愛い猫さん!」


"僕たちを見てびっくりしないなんて変わった子だね。僕は風の精霊王だよっ。ここは精霊界♪久しぶりにシエルの作った絵本を眺めに行こうと思ったら大きなリーツを感じてね、そしたらナーシャが困ってそうだったから引っ張ってきちゃったんだ。"


シエルってリシエルお祖母様のことかしら?

あの絵本ってお祖母様が作った絵本だったの?


「精…霊様?」


"様なんて要らないよ♪僕はウィン、こっちの偉そうな感じの茶色い子が大地精霊のティエラだよ "


"偉そうな子ってなによ!"


"いつも偉そうじゃないか"



"そんなことないわ!ウィンが自由すぎるだけでしょう?"

「ふふふ。私はナーシャ・カルノスです。ナーシャと呼んでください」


"よろしくね。ナーシャ"


"僕はよく絵本を覗きに行くからナーシャってことは知ってるよ♪君が産まれる前にシエルが死んじゃってね。それからもたまーに絵本を覗きに来てたんだ。あの絵本は僕たち事を書いてあるからお気に入りなんだっ。ナーシャが大きくなってからは絵本を見にこなくなってすこし寂しく感じてたんだよ?それが久しぶりに見かけたと思ったらこんなに大きなリーツを感じてびっくりしちゃった。"


「ふふ。あの絵本の妖精さんはウィンやティエラ達のことだったのね」


"そうだよ!僕はシェルと契約してたんだけどね。急にシェルのリーツも弱まってしまって会えなくなったんだ。シェルにどうせなら人間なんかやめてこっちの世界においでよって誘ったんだけどね…シェルってば「いいの。私は人間としてみんなに見守られながら死ぬほうを選ぶわ」だなんて言って

。人間の命って儚いよね"


"ウィン!!話すぎよ。他の契約者に前の契約者の話をするのはご法度でしょ!?"


"まだナーシャと契約交わしてないから大丈夫だもん"


"そういう問題じゃないわよ。"


"これくらいセーフだよぉ"

2人は言い合い出してどうやって止めたらいいのか分からない…




ザブン!!

水色のオーラをした猫が現れて、ウィンの周りには水の壁が出来た。



ウィンはなにか怒ってるようだけど水の音に遮られて何も聞こえない。



"他の契約者の話しをしすぎだ。今風でどうにかしようとするとナーシャが危ないからな。ウィンはそこで反省しておけ"


"ソラン!私にもちょっとかかったじゃない"

ティエラは水を払うように体をブルブルさせた。


ティエラを無視しソランは話し出す。


"ナーシャ。君はどの精霊と契約したい"


「契約…?」


"ええ、精霊との契約よ"


「けど…私は絵本のように精霊さんを自分から呼んだ訳じゃないのに…契約なんて出来るのかしら…」



"それなら大丈夫だよ"


ウィンは水に穴を開けて出てこれたようでゼェゼェ息を荒らしながら説明をしてくれる。


"実際は精霊と契約するにはそれなりのリーツを出して精霊召喚してそれに見合った精霊がその者の前に現れるんだ。けれど君は精霊王を召喚したシェルと比べ物にならないくいリーツが溢れてて精霊王の僕でも引っ張り込めちゃうくらいのリーツの持ち主ってわけ"


"だから。ね。僕が引っ張ったのも何かの縁だし。僕と契約しよう?"


ウィンはそう言ってくれるけれど多分私はウィンとリシエルお祖母様のことを無意識に話してしまいそうでウィンが契約違反をしてしまうんじゃないかと心配になる。


ウィンは私が考えていることに気がついたようで

"あ、でも僕と契約したらシェルの話が出来なくなっちゃうしなぁ。けどナーシャくらいリーツが溢れていると誰かと契約しても引っ張れるくらいリーツ溢れてそうだしいいや。"



"ナーシャ。それなら俺と契約しよう。"


"ええ?ソランはチカラが大きいからリーツが溢れてるナーシャでも心配じゃない?ね、ね、ティエラ!?"


"そうねぇ…私と一緒に契約すればいいんじゃないかしら。ソランのチカラは思いっきり使えば身体に負担かもしれないわ。けど私も一緒に契約したらソランの抑え役にもなれるし、チカラの使い方も変わると思うし。もちろんナーシャが火や雷の精霊がいいって言うなら話は別よ?"



"えええええ僕はダメでソランは良いの?ずーるーいーよー"

子供のようにごねるウィンが可愛く、私が産まれる前に亡くなってしまったお祖母様ともこんなやり取りをしていたのかなぁなんて想像する。



精霊と契約するなんて…想像もつかないけれど

リシエルお祖母様と契約したことがあり、わたしを引っ張ってくれた縁のあるウィンと契約出来ないのは残念だけど

絵本にも載っていたティエラとソランと契約したい

絵本にはなぜ赤や黄色じゃなくて茶色と水色と緑の妖精さんなのかなぁなんて思っていたけどこの3人のことを書いていたのね。と嬉しい気持ちになったから。


「私、ティエラとソランと契約したい……だけど…」


私はジェノシーから引っ越してきてから最近までのことを説明し契約をしても理不尽なチカラの使い方をしてしまうかもしれないし、本当の精霊使いのような事が出来るか分からないことを伝えた。


"ナーシャ。そんなこと気にしなくていいわ。精霊と契約するってことは私たちの力を好きに使えるってことよ。それに私たちにも意思はあるから出来ないことは出来ないって言うし。私達も契約して人の姿であの世界に出れるのは嬉しいしね"


"じゃあ決まりだな。目を閉じて俺たち2人のヒカリを感じてくれ"


"ヒカリを見つけたら、私たちの名前を呼んで私たちと契約すると唱えて"



私は目を閉じ青と茶色のヒカリを見つけ、「精霊ソラン、精霊ティエラ、私と契約してくださいっ」



チクッと耳が痛くなり目を開けると目の前のソランとティエラは消えた。


"ナーシャの耳の裏についたこのピアスが呼び鈴よ"

"それにもう俺たちは声を出さなくても話せるぞ"


"分かった。契約書してくれてありがとうティエラ、ソラン"



"こらー僕を置いて3人で話してるだろ!?"


「ふふ。ごめんねウィン。助けてくれて…それにわたしを引っ張ってくれてありがとう。」


私はそう言ってウィンにぎゅーっと抱きしめた。


"へへへ。シェルみたいな匂いがするや。久しぶりで不思議な感じ。ナーシャいつでもここに遊びにおいでね。"


"ウィン。あなたさっきから……人間を精霊界に頻繁に行き来させたらダメなこと分かってて言ってるの?"


"あ、そうだったね。じゃあ早く契約者を見つけてナーシャに会いに行くよ♪じゃあまた会おうね"



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