第2話

シャンドラが決めた婚約者。

シャンドラにとって都合のいい相手に決まってる。

それでもどんなお方なのかしら。とこの環境から外に出れらるのは少し嬉しく思う。


「ナーシャ様、このドレスでどうでしょう♪」

メイシーは嬉しそうに私の青い目に合う淡い水色のドレスを用意してくれる。


メイシーがいなければ既に心が折れてもっとひねくれていたと思う。

だから彼女には本当に幸せになって欲しい。


「ふふ。お嬢様?心の声が漏れてますよ。

ナーシャお嬢さま?わたしはお嬢さまが幸せに笑顔で過ごせるようになるのが私にとって1番の願いです。私はどこまでもお嬢さまについていきますからね」

メイシーがふふっと微笑みながらドレスを整えてくれる。


___________


コンコン

息を飲み込んでドアを開け私は挨拶をした

「お母さまおはようございます」


「ナーシャおはよう。部屋に籠りっきりでいつも心配してるのよ?今日は体の調子はどう?あなたのお父様そっくりな目の色に合ったドレスね。とっても美しいわ♪」

「お母さ

「ゴホン。レアロナ。そろそろいいかい?

ナーシャ。紹介しよう君の婚約者を申し出てくれた北東のルミアに住むドルーラ・レオリオ公爵だ。」


シャンドラがお母さまの会話割って来たことに少しムッと思いながらも私はシャンドラの方に目を向けた。


!!…やだやだやだやだ。

ある程度想定はしてたけどさすがにありえない!!

お母さまは私の婚約者にこんなヤツを許したの!?

ルミアのドルーラ様と言えば皇帝も認めるほどに頭がキレて有名な方。

だけどお金に汚くて…ロリコンでもあるとかなんとかで有名な方じゃない。


お母さまの方を見つめるとさっきまでのあんなに嬉しそうにしてくれたお母さまとは違い気まずそうに目を逸らした…。



ふぅ…お母さまも分かっての事なのね。

こんな結婚なんて私絶対嫌よ。

だけど…今ここで反対したらどうなるか

後のことは想像がつく。


「…はじめましてドルーラ様。遠くからお越しくださってありがとうございます」

「やあやあナーシャ、君はなんとお美しい女性だ。体が弱くあまり外に出ないとは聞いていたがこんなにも美しいとは思わなかったよ。2年後は君の好きなように盛大に結婚式を行おうじゃないか」


ドルーラ様の勢いに圧倒されて引き気味の私に

シャンドラは何も言わずに早く返事しろと言わんばかりにお母さまに気づかれないように私を睨む。


あまりの勢いに返事に悩んでいると

「お姉さま…ほんとうにもう結婚しちゃうんですか?お姉さまはどこかへ行ってしまうの?」

うるうるしながら私を素直に心配してくれるレティシャに微笑ましくもシャンドラからの圧からも逃げられると私は安心する。



「レティシャ?大丈夫よ。まだ顔合わせだから16歳まであと二年もあるわ。だから直ぐにどこかへ行ってしまうなんてことはないから安心して大丈夫よ」


レティシャは安心したように私に微笑んで抱きついた。

ほんっっとうに可愛い妹!

「仲のいい姉妹ですな。お姉さまを取って食おうなんてことは無いから安心しておくれ。結婚してもナーシャを大切にすると約束しよう」

ガッハッハと変態のように笑う目つきが本当に気持ち悪い。


お母さまは顔を引きづってるし、レティシャは怖がって私のドレスをギュッとにぎってる。

どうせシャンドラに体が弱いからなどと吹き込まれたんだろう。

それでもこんな奴との婚約に賛成するなんて…

娘の幸せを願ってもこんなやつと幸せになれる訳ないじゃない。


たわいない話をしながら食事を済ませ、

「今日はこのあと首都に向かわなければならないためそろそろお暇させて頂きましょう。ナーシャ穣、結婚までに是非ルミアにも遊びにお越しください。その時は色々案内しましょう」未来のお嫁様にはルミアを知っておいてほしいですからなガハハと笑いながら返事も聞かぬうちにご機嫌で帰って行った。



_______


はぁぁぁ。カーテンの隙間から見える窓の外を見つめながら考える。

このままドルーラ様と結婚なんて…

シャンドラからは逃げられる。けれど

結局あんな変態公爵と生涯を共にするなんてどっちにしても悪夢だわ。




ここから逃げ出したい!と本気で思った。

けれど逃げ出すにも最低限のお金も自分で生きていく力も必要だし…


ドンドンッガチャッ

「おい。今日の態度はなんだ!!なぜドルーラ公爵との結婚話を盛り上げなかった!!俺はお前の為を思って婚約話を持ってきたのが分からないのか。恩を仇で返す気か!?」


寝ようと思ったのに…こうなることは少し想像がついていたけれど…。

こんなに大声出したらお母さまにもレティシャにもバレるわよ。ふんっと思いながらも…シャンドラの怒りを抑えるためには演じるしかない。

謝るだけだと永遠と罵声は続き暴力へと変わるから…

何年も耐えてやっとシャンドラの対応策を得た。

何度も罵声を浴びさせられると自分が悪かったのかと錯覚してしまう日もあったけど。



「ごめんなさい…お義父さま…わざとじゃないんです…。盛り上げなければドルーラ様が不快になってしまうかもしれないことも考えたのですが

私が喜ぶとレティシャに早くドルーラ様のところに行きたいと思わせて寂しい思いをさせしまうんじゃないかと考えてしまって…。その思いもドルーラ様に伝わっているといいのですが…。」


シャンドラは苛立ちながらも私の言い訳を最後まで聞いたってことは今日は助かったかしら…

「ふんっ嘘くさい言い訳を述べよって。相手の気持ちの分からない奴がレティシャの為を思うわけが無いだろう。今日はドルーラ公爵もご機嫌だったからいいが私の顔に泥を塗るんじゃないぞ!」


パタン


コンコン「お嬢さま…」

今にも泣きだしそうなメイシーに私は微笑む。

「大丈夫よ。お相手がここまでとは思ってなかったけどある程度は予想出来たことだもの。

私に、私のためシャンドラが配慮する訳ないもの。心配して来てくれてありがとう。」

人差し指を口に当て小声でメイシーに微笑んだ


メイシーはあんなに喜んでしまって…と涙しながら抱きしめてくれ私も泣きそうになった。



その後はベットに入り

お母様と話したい。今までのことも全て打ち明けてしまいたい。この結婚についても嫌だと言ってしまいたい。


けれど小さいながらにお父様が亡くなってから病んでしまい寝込んでいたお母様も見てきたからこそ…

お母様とレティシャにはものすごく優しいシャンドラのことを今更全て伝えてお母さまが自分を追い詰めてしまうのは嫌だ。


と涙しながら眠った。

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