SS2 メイド
ある日の休日。彼女の家に来て昼食を食べ、お腹一杯になり、ソファに座ってうとうとしていると瑞季に名前を呼ばれた。
「碧くん、碧くん」
「ん?」
顔を上げると目の前に文化祭の時に着ていたふりふりのメイド服を着ている瑞季の姿があった。
夢かもしれないと思い、頬をつねってみるが、普通に痛い。だからこれは夢じゃない。
じっーと瑞季のことを見ていると彼女は顔を赤くして下を向いていた。恥じらう彼女が可愛すぎて思わず「可愛い」と呟いた。
「急にメイド服着てどうしたんだ?」
また香奈が瑞季におかしなことを吹き込んだ可能性が高い。瑞季がメイド服を着て俺を喜ばせようなんて思い付きそうにないし。
「今日はメイドの日らしいので、碧くんの1日メイドになろうと思いまして。何かしてほしいことはあります?」
何そのご褒美!? 誕生日でもないし、何か頑張った覚えなんてないけど。
「な、何でもいいのか?」
「はい、何でもです。膝枕とかどうです? お疲れのようですし。今なら耳掻きもしてあげます」
メイドの格好で膝枕して、耳掻き!? 想像してみたが、ご褒美すぎると思う。
「じゃあ、膝枕してもらおうかな……」
もうこんなシチュエーション、二度とないだろうと思い、お願いすると彼女は俺の隣にゆっくりと座った。
そして、太ももをポンポンと優しく叩き、どうぞと呟いた。
ソファに座ったまま俺は、彼女の膝に頭を乗せる。向きが悪く、仰向けになると目の前には大きい破壊力のあるものが……。
「!」
「ふふっ、触ります?」
「触らないよ!」
「そうですか……今日は1日メイドなので、碧くんがしたいことなら私は何でもしますからね」
何か危ないこと言ってるよ。このままやりたいようにやっていたら俺、止まれる気がしないよ。
「はい、横向いてくださいね」
「あっ、そっか……」
耳掻きしてもらえることを忘れており、仰向けだったが、横を向いた。
「では。痛かったり何かあれば言ってくださいね」
「お、おう……」
耳掻きをしてもらうと気持ちよくて眠くなってきた。
(最高すぎる……)
「はい、碧くん、反対ですよ」
「う、うん……」
反対と言われて一度起き上がろうとすると先ほど見た大きなものが視界に入った。
(み、見たらダメだ……)
フイッと目を離そうとすると瑞季に抱きしめられ、彼女の胸に飛び込むような形になってしまった。
何これ柔らかい……。まるで布団のような……って、これどういう状況なんだろう。
「我慢しなくていいんですよ、碧くん。私はあなたのものですから」
「!!」
我慢しなくていいという言葉を聞いて俺は確かにと思い始める。
彼女がいいというなら我慢する必要はない気がする。
「反対側をする前に瑞季に触れてもいいか?」
「……はい、どうぞ」
ゆっくりと手を伸ばす、その先には……
「碧、大丈夫そ?」
「…………!?」
手を伸ばすとそこには心配そうに顔を覗き込む優愛の姿があった。
「すっごいぐっすり寝てて急に手伸ばしてきたからビックリしたよ。私の胸でも揉みたかったのかなぁ~?」
「いや……」
(夢…………やっぱり夢だったのか…………覚めてほしくない夢だった)
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