付き合っていない清楚系美少女がなぜか俺にだけ甘えてくるSS
柊なのは
SS
SS1 危険なチョコ
水曜日の放課後。ここ最近、あまり行けていなかったカフェ『hitode』に瑞季と2人で行くことになった。
変な噂が立たないよう水曜日の放課後、よくこのカフェに来るようにしていたが、堂々と付き合う今ではあまり来なくなった。
「いらっしゃいませ」
カフェへ入ると店長である長谷部さんが迎えてくれた。店内はお客さんが何人かいて今日は空いているようだ。
「こんばんは、長谷部さん」
「光さん、こんばんは。2階、使わせてもらっても大丈夫ですか?」
「もちろん、大丈夫よ。ここで注文してくれたら2階に運ぶけど、どうする?」
水曜日は7限目まで授業があり、疲れているので甘いものを欲している。瑞季の方をチラッと見ると食べましょうと目で言っていた。
「頼みます」
「わかったわ。メニュー表はこれね」
長谷部さんからメニューを受け取ると瑞季と一緒に見て、何を頼むのか決めた。その後は、注文をとってもらい俺達は2階へ上がることに。
「ソファの方に座りません?」
「うん、いいよ」
水曜日は2階を使わないので貸切状態だ。好きな席を選び、そこへ座る。
瑞季は対面だと寂しいらしいので横に座り、俺の方へピトッとくっついて座った。
「春なのにここ最近は暑いですね」
「そうだな。春に着る服を出したばっかりなのにもう半袖って感じだし」
春なのに暑すぎる日が続く話をしばらくしていると瑞季は、カバンから髪の毛のゴムを取り出し、綺麗な長い髪を1つにまとめた。
いつも下ろしている姿を見るからか彼女が髪をくくっていると新鮮だ。
髪型が変わるのもいいが、髪の毛をくくっている時もいいんだよな。共感してくれる人がいるかわからないが、俺はそれを見ているのが好きだ。
「瑞季は、どんな髪型でも美人だよな」
「そ、そうですか? 髪の毛をまとめただけですよ」
「いや、可愛い」
「あ、ありがとうございます……」
顔を赤くした瑞季は、見られたくないのか俺の胸にグリグリと頭を押し当ててきた。
「お待たせ~って、ごめん! あっ、イチャイチャしてる……」
ケーキと飲み物を持ってきてくれた長谷部さんは、俺と瑞季のことを見てイチャイチャしていると思ったのかそーっと帰ろうとしていた。
帰らないでくださいと言おうとすると瑞季は、俺からバッと離れ、ソファから立ち上がった。
「ひ、光さん! あっ、ありがとうございます!」
顔を赤くした瑞季は、長谷部さんからケーキと紅茶が乗ったトレーを受け取った。
「た、食べましょう! 碧くん!」
「お、おう……」
俺と瑞季は、チーズケーキと紅茶のセットを頼んだ。
チーズケーキを食べようとすると俺と瑞季は、長谷部さんからチョコを1つもらった。
「そだ、このチョコ食べてみてよ。美味しかったからさ」
「ありがとうございます、光さん」
「ありがとうございます」
俺はチョコを後で食べることにしたが、瑞季は、もらってからすぐに食べていた。
「美味しいです」
「でしょ? 欲しかったらここにあるから食べていいよ。じゃ、仕事戻るね」
仕事中のため長谷部さんは1階へ降りていき、2階は、俺と瑞季の2人だけになった。
すると、瑞季は、俺にピトッとくっつき、肩にもたれ掛かってきた。
「碧くん、このチョコとても美味しかったですよ。食べたらまた食べたくなる危険なチョコです」
「……それ大丈夫か?」
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