極変態で性知識100%の生徒会長から令嬢を守る、ごくごく普通で一般生徒の俺

RiNRM

オープニング

 俺が通う学校には、ちょっと変わったルールがある。


『性に関する言動をの前で絶対にしてはいけない』


 ここで多くの人の頭にクエスチョンマークが浮かぶと思う。

 その気持ちがよく分かる。俺だって、このルールが作られてから、数週間が経った今でも、未だに理解すら出来ていない。普通の人、いや、少し変わった人でさえも、意味不明に感じるはずだ。


 ん、「そもそもなんでこんなルールが出来たのか?」だって? いい質問だ。それは――――

 

  

「おい、来たぞ! みんな気をつけろ!」


 突如、クラス中に声が響く。

 この声をきっかけに緩んだ空気が一変し、妙な緊張感が一面を覆う。さっきまで動物園みたいにうるさかったのが嘘みたいに、誰一人話さない。


 ガラッ。


 と音を立て、教室の扉がゆっくりと開いた。俺もみんなもその扉に注目する。


 「……今日もくそ可愛い」


 隣に座っていた陽キャがポツリと呟いた。


 少し焼けた健康的な肌、ぱっちりと開いた目、きゅっと小さく結ばれた唇、そして、肩までの艶やかな髪が彼女の幼さを引き立てている。


「みなさん、おはようございます」


 彼女はにっこりと笑い、大きな声で挨拶をした。

 その瞬間、教室は一斉にうるさくなる。


「おはよ!」

「おはよー。今日も可愛いねー」

「やばい、直で笑顔見ちゃった! 大丈夫!? 私の目、成仏してない!?」

「可愛すぎて今日も被害者が……。おい、誰か手が空いてる人、こいつらを保健室に連れていくのを手伝ってくれ!」


 彼女の周りには多くの人が集まり、楽しそうに談笑している。その周りには、彼女の笑顔を直で見てしまった人達が幸せそうな顔で倒れている。


 何なんだこれ。


 確かに彼女は可愛い。俺だって、一回彼女の笑顔を間近で見た時は、あまりの可愛さで倒れるかと思った。なんか心臓がきゅっとした感じになるんだ。

 

 彼女はこのクラス、いや学校中の人気者だ。

 

 しかし、忘れてはならない。この変なルールを作るきっかけとなったのは、彼女『西條詩さいじょううた』のせいであると。

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