【短編】荒廃国家日本
MrR
白鳥 チズルが見た日本
Side 白鳥 チズル
大人達は豊かな日本を知らない。
当然まだ十代半ばの私も豊かだったと言われる日本の姿を知らない。
今の時代は残酷らしい。
力こそが法で正義の時代だそうだ。
私は幸か不幸か才能があった。
それはパワーローダーを動かす才能。
パワーローダーで戦う才能だった。
それを哀れむ大人がいるが私は気にしてはいない。
私はこのコミニティ・池神町で生まれ育った。
自然豊かで山に覆われ、人々が畑を耕し、流通で賑わい、とにかく活気があるらしい町だ。
だからか今日もまた敵が攻めてきた。
敵と言っても様々だ。
他のコミニティの連中。
豊かなコミニティだからと目をつけて襲ってくる連中。
野盗化した軍の連中とかも来る。
皆どうして手を取り合えないのか疑問に思ったが、その疑問に答えを出せないまま、何とも思わず、私は戦っている。
全高2m程度。
核動力のパワーローダーの戦闘は大口径の火器による撃ち合いか、切断力が高い武器による斬撃、あるいは大質量の鈍器による粉砕かで勝敗が決まる。
大概はスクラップの寄せ集めで作られた、大質量の鈍器での殴り合いになる。
パワーローダーも、その武器の入手も簡単ではないのだ。
私の使う頭部が無い独特の形状のパワーローダー、白塗りのヴァンガードもそうだ。
何時も武器のあれこで苦労しつつ、今日も戦いに勝利する。
☆
最近友人の影響でちょっとした趣味が出来た。
昔の日本の事について調べる事。
昔はインターネットとかスマートフォンとかあったらしいが今はミサイルやドローン対策などの電波妨害が強すぎて使えないらしい。
だから図書館などに出入りして調べたりしている。
まだ豊かだったころの日本に私は熱中する一方で、どうして今の世の中はこうなってしまったのかと悲しく思う。
もっと悲しいのはどうして戦う事で問題を解決しようとするのか。
理解に苦しむ一方で何となく理由は分かっている。
創るよりも奪う方が簡単だからだ。
戦いが起きる理由なんて大概はこんな感じでくだらなくて、しょーもない理由なのだ。
私達が経験している戦いも大体そんな感じだったし。
どんな偉そうな言葉を使っても何だかんだで戦う理由なんてそんなもんだ。
☆
パワーローダーは色々と便利だ。
女でも畑仕事と言う重労働が出来るぐらいには。
私も率先して参加している。
同年代の男子、女子も参加していた。
昔は貨幣経済と言うのが主流だったらいしが今は物々交換が主流だ。
農作物が詰まったコンテナで武器、弾薬などとトレードしたりする。
また逆も然りである。
昔の日本はどんな感じで物のやり取りをしていたのだろうか。
コインと言う通貨でやり取りしている地域もあると聞くが。
まあそれはともかくとして、私は生きていく。
今日を生きるために。
より良い明日のために。
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