窓の汚れ

 俺は朝、出勤のために車に乗り込んだ。

 エンジンをかけ、エアコンを入れる。窓は閉まったまま。

 独身の俺は、冷蔵庫の中の食材を思い浮かべ、買い物リストを頭の中で作っていた。

 ふと見ると──運転席側の窓のちょうど目の高さに、ぽつんと白い油のような汚れがついている。大きさは親指の腹ほど。頭をごろんと窓にもたれかかれば、こんな跡がつくだろう。

 なんだこれ、と思い無意識にぬぐおうとして──


 俺はその日会社を休んだ。


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