カーナビ

 俺は心霊スポットに行くためにカーナビに場所を設定した。


「目的地を設定しました。案内を開始しますか?」


 よし。行くなら夜中の方が感じが出るからな。田舎にあるトンネルが目的だ。幽霊の目撃談が多い場所。噂によると何か起こる確率が9割以上らしい。


「目的地まで1Kmです。この先、道なりに直進です」


 田舎の山道はぐねぐね曲がるから方向感覚がなくなるんだよな。便利になったもんだ。


「目的地まで500mです。この先右折です」


 あれ? 地図的にはまっすぐじゃなかったっけ?

 近道かな。ハンドルを切る。


「目的地まで200m。道なりです」


 すれ違う車が全くいなくなった。さすが田舎の深夜。車が故障でもしたらそのまま朝まで車泊しなきゃかも。

 道路脇に大きい岩があるな。片付けておいてくんねえかな。予算がないのか。

 俺はその岩から目を離し、前を向いた。。センターラインが途切れている。真っ黒な空間。崖崩れ?

 慌てて急ブレーキをかける。ギキーッとタイヤが悲鳴を上げるが、止まらない。一瞬の浮遊感のあと、俺と車は真っ逆さまに落ちて……。



「目的地に到着しました。ここは<あの世>です」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る