海の底

海星

はじまり

第1話 きっかけ

キラキラした笑顔が特徴的な女の子。

誰にでも気さくに話しかける。

そんな彼女が可愛くてたまらなくて…。



その子は勤め先の雑貨屋の大学生バイト。

僕はそこの社員。30代前半。


そんなに話したことは無いが閉店後送ったりはしていた。


そんなある夜、いつも通り送っていった後、初めてドライブに連れ出した。


「ちょっと遠回りしていい?」

「いいよ。」

「喉乾いてない?」

「うん。大丈夫。」

「俺、ちょっと飲み物欲しいからコンビニ酔っていい?」

「いいよ。」


僕らはそんなにテンションは高くない。

店を出ると普通にタメ口。

お互いを名前で呼び合う。



そしてその日、人気の無いコンビニの駐車場の奥の方に入って…


結月にキスをした。

結月は僕の首に手を回して引き寄せた。


幸せだった…。

止まらなかった。



「結月…重かったらごめん。俺、結月とずっと一緒に居たい。だから…」

「それは、プロポーズって捉えていいの?」


「指輪…まだだからちょっと先走った。ごめん。」

そう僕が苦笑いすると結月は、


「こっちも先走ってる。」と笑って、

「私はいつでもいい。でも早い方がいい。でもまだふたりの時間もいっぱい欲しい。」


「……なんでそんな可愛いの。」

「…可愛い?」


結月は意地悪な笑みを浮かべて僕を見た。


「もうダメ…うちおいで。早く。」

「今日で終わりじゃ嫌。」

「そんなわけないから。」



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