僕のしあわせな生活

@kawazukun

第1話

僕は今、幸せだよ。

高卒でも、今はアーティストとしてやっていけてるし、僕のアイディアを素晴らしいと思ってくれている人がいる。でも少し不思議なんだ、世界はこんなにもキラキラしていて、僕はその一部を切り取って作品の中に閉じ込めているだけなのに。僕の作品を褒めてくれるのは嬉しいけれど、どうしてみんなは身近な輝きに気づかないんだろう。例えばイチョウ。よく大人が「銀杏を踏んでしまって臭い」だとか「タイヤが滑ってしょうがない」とか言ってぼやいてるけど、葉っぱを一枚、手にとってみて。陽の光に透かしてみたりするととってもきれい。目を貫くほどの鮮やかさはイチョウだけの唯一無二。形容するなら、「元気が出る」かなぁ。形だって、きっと人間だけじゃ思いつかない。ほんっと、世界って素晴らしいなぁ。

そんなことを思いながら朝の街を走り抜ける。途中で疲れた顔のサラリーマンを追い越した。背を丸め、うつむき具合にとぼとぼ歩く彼ら。どうしてみんな疲れ得るんだろう。よくわからない。でもきっと、その人なりの苦労があるんだよね。みんな、ガンバレ。そんなエールを心の中で送りながら。

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