第66話 ちょっと内職みたいに

 貴族の館から三人で自宅に帰宅した。


「コウタ、ただいま〜〜」

「レースが金貨に化けたよ〜〜! 全部売れた! テンアゲ!」


 紗耶香ちゃんはじゃらじゃらという、ときめく音をさせてレースの売り上げである金貨の入った袋をテーブルに置いた。

 私も菓子パンの売り上げ袋をテーブル置いた。


「二人ともでかした! ライも御者お疲れ様!」

「ハイ」


「コータ君の、市場の方はどうだった?」


「菓子パンも化粧品とかも全部売れたし、職人が竹細工の出来た分を納品しに来てくれたよ」


 コウタは売り上げと竹の細工をアイテムボックスから取り出した。

 曲げワッパ弁当箱とお皿とコップ形の汁物の器と竹筒の水筒の完成した物が7個ずつある。


 広いテーブルの上が賑やかだ。


「わあ、器が増えた!」


 竹だと凄い和風な雰囲気。


 竹を半分に割って横にして置く感じのお皿はお蕎麦を入れたくなるカンジで、蓋付き曲げワッパ弁当箱は味噌を入れたくなるし、コップみたいになった物は緑茶を入れたいし、竹水筒はお茶かお水を入れたい。


「コップだ〜〜、これで汁物が出せるじゃん」

「そうだね、もうおでんの美味しい季節だし、良いかも」



「おでんもいいけど、俺は今夜の夕食のメニュー、自分達用に、なんとなく辛いのが食べたいな。

麻婆豆腐か麻婆茄子とか」

「じゃあ今夜は麻婆豆腐にでもしようか」


「ああ、ライはやや辛いの平気か? パンもあるから辛かったらそっちを食べると良い」

「大丈夫デス。何でも食べられマス」



 コウタと二人でネギとひき肉と玉ねぎと、豆腐と麻婆豆腐の素を買ってお手軽に作った。

 紗耶香ちゃんはライ君とお風呂の用意をしてくれてる。


 麻婆豆腐は素を使うけど、ちょっとだけ豆板醤を追加すれば更に美味しくなると知り合いに聞いたのでそれも買った。

 基本的に味のベースはプロ企業のやつだから失敗は無い。


 コウタは自分の分に豆板醤を多めに入れて辛味を調整していた。



 私のはやや辛くて美味ーい! 白米が進む。



 ご馳走様でした!



 夕食に麻婆豆腐を四人で美味しく食べて、お風呂の後に羽根ペン作りの続きをする事にした。



 雑貨作りの内職みたいに紗耶香ちゃんと一緒にリビングでやってる。

 紗耶香ちゃんの方は羽根ペンではなく、帽子を飾り付けてる。


 私は羽根の部分に紗耶香ちゃんが貸してくれたキラキラのラメカラーのマニキュアと小さな宝石みたいなラインストーンを飾りつけた。


 うん、我ながら可愛いくできたと思う。



「カナデっち、すごーい、可愛いくデコれたじゃん!」


「ありがとう、けど、グリップ部分というか、インクが垂れて羽根の所まで行かないように、ストッパーの役割のする、何かが欲しいな。

金や銀の装飾がカッコいいのは分かるけど、コストと技術的な問題が……」


「包帯みたいに布巻いてるの見たよ、ギルドで」

「布ねえ……インクで真っ黒になりそう。せめて汚れるにしても粘土とか無いかな」


「レースが売れてがっぽり金貨貰ったし、いっそデザイン画を描いて金細工師に依頼してさ、仕上げて貰ったら? 自分へのご褒美に」


「出た〜〜必殺自分へのご褒美!」


 心惹かれるフレーズではある。


「いーじゃん、たまにはさぁ」


「そうかな? それもいい気がして来た」

「うん、うん」


「てか、紗耶香ちゃんの帽子の飾り付けも華やかで可愛いね。

特に花弁の端っこに追加されたマニキュアのキラキラ可愛くて好き」

「でしょ!? 羽根と布花が効いてるカンジ」


「二人とも頑張ってるな」


 コウタがリビングに顔を出して来た。

 水を飲みに台所へ来たついでに来たみたいだ、手に飲み物を持っている。



「コウタ、ほら、私の羽根ペン可愛いでしょ? これは売り物じゃないけど」

「うん、売れるデザインになってると思うけど。見本にして量産したらどうだ?」


「うーん、マニキュアって紗耶香ちゃんのスキルショップの売り物にあった?」

「あ、どうかな」



 紗耶香ちゃんがステータス画面からスキルショップを開いた。



「あ! 商人レベル30でマニキュア解放!って書いてある 今、サヤの商人レベルは20だよ」


 なんでやねん!! 


 って、私は思わず大阪人でもないのに心の中で突っ込んだ。


 はー、レベルが足らないとまだ買えないとは!

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