第50話 貴族の邸宅の厨房で料理した
厨房に着いてから、私はそこに何の食材があるか調べた。
ある物は好きに使って良いとソフィアナ様は仰せだ。
しかし、無いものをスキルショップで購入する必要がある。
コウタとアイコンタクトらしきものをとった後で、私はメイドさんにお願いをする。
「ちょっと化粧室へ行きたいのですが」
「ご案内致します」
メイドさんの案内で私は化粧室に到着し、メイドさんに一言かけた。
「申し訳ないのですが、しばらく廊下で待っていて下さい」
「かしこまりました」
貴族の化粧室は広いなとか、じっくり見てる場合じゃない。
急いでスキルショップを開いて必要な物を購入。
海老とかマカロニとかパン粉とかホワイトソース用の牛乳とかチーズなど。
ささっと購入してから、手を洗い、何食わぬ顔で厨房へ戻った。
私は鞄からさっき買った物を出す。
コウタは既に借りたエプロンをして、玉ねぎの下ごしらえを初めていて、紗耶香ちゃんは何となくお湯を沸かしてくれてた。
アイテムボックスの代わりに魔法の鞄から食材を出してる風に装う。
厨房の料理人が壁際から私達を見ていて緊張する。
毒とか変なの入れないように見張り?
普通に見学?
「これでいいわね、紗耶香ちゃんはこのマカロニを茹でてくれる?」
「ええ」
いつものりょ。の返事じゃないから、えらい。
まだ演技は継続中。
コウタは私が鞄から出した食材を見た。
「そのエビでグラタンを作るんだな?
俺はハンバーグを担当するから、グラタンを頼んでいいか?」
「了解」
ホワイトソースは市販のホワイトソース缶を使いたいけど人目があるからな。
さて、エプロンを借りて私も料理を開始する。
エビは殻を取り、背わたを取り除いたら塩でモミモミ。
5分程度おいたら流水で洗いながし、キッチンペーパーの代わりに、清潔な布で水気を拭き取る。
中火に熱したフライパンにオリーブオイルをいれ、エビを入れる。
エビの色が変わり火が通ったら皿に取り出した。
その時、紗耶香ちゃんが話しかけて来た。
「マカロニは茹で上がったから、ザルに上げて置いたわ。他に何をすれば良いかしら?」
「ありがとう。その後はブロッコリーを洗って小房に切り分けておいて。
一口サイズくらい」
「ええ、分かったわ」
次に深めのフライパンに有塩バター、薄力粉を入れて弱火で熱し、木べらでひとまとまりになるまで炒め、牛乳を少量ずつ加えて都度混ぜながらとろみがつくまで弱火で加熱しつつ、ヘラで混ぜ続ける。
とろみがついたら塩こしょうで味を整えて、ホワイトソースはこれで完成。
フライパンに玉ねぎとブロッコリーをいれ、中火で玉ねぎがしんなりするまで炒め、用意していたエビなどの具を入れて、ホワイトソースを絡める。
コンソメ、ブラックペッパーなどで味を調整し、茹でたマカロニや彩りに茹でブロッコリーも入れる。
グラタン用の皿に具を入れ、ピザ用のチーズをかけ、上からパン粉もかける。
オーブンに入れて、チーズにこんがりとした良い焼き色がつくまで焼く。
およそ17分位かな?
気が付けばコウタの方もハンバーグを焼く作業をしていて、美味しそうな匂いで厨房をいっぱいにしている。
ゴクリ。生唾を飲む音が聞こえた。
次にぎゅるると、お腹の鳴る音がした。
見れば壁際に立つ、料理人でも若い方の、見習いっぽい男の子が顔を真っ赤にしている。
今の音は君か?
コウタが料理長らしき人と、その子に声をかけた。
「自分でもやりますけど、一緒に味見をお願い出来ますか?」
コウタはハンバーグを小さく切り分けた物を小皿に乗せて渡した。
安全ですよと、同じハンバーグを一口食べて見せた。
「では、お嬢様のお口に入る物ですので、味見させていただきます」
責任者たる料理長が先にハンバーグを口にした。
「……美味い。見習い、お前もせっかくだし、食べてみなさい」
「はい! ……美味しいです。
肉汁がとても、なんというか、素晴らしいです!」
惜しい! 見習いさん、語彙が足らなかった!
でも本当に美味しいと、表情が言ってるので、よしとしよう。
気が付けば紗耶香ちゃんもコウタが料理人達に試食をさせているので、ハンバーグを焼くのを手伝っている。
ハンバーグのタネが出来上がっていれば、紗耶香ちゃんでも焼くくらいは出来るらしい。
私のグラタンも出来上がって試食を料理長に試して貰ったら、美味しいと言われた。
その後、ピロロン音が脳内に響いた!
プロの料理人に評価されて、何かのレベルが上がったらしい。
後で家に帰ってから、ステータスを確認しよ!
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