第30話 雨の日の休日
翌日も雨だったのでお休みにした。
コウモリ騒ぎがあったから、休みで良かった。
何となく自スキルの食材ショップの中身を見たりした。
地球ではよく何となくフリマアプリ覗いてたな~~とか思い出す。
──あ、きな粉が安い。
これって砂糖を混ぜてご飯にかけて食べたり、きな粉揚げパンとか作れるから、買っておこうかな。
ドーナツを作った時の油もまだアイテムボックスに残ってるし。
きな粉ご飯も楽ちんだし。
他に何か安くなってる物はないかな?
──あ、卵が安い。
そう言えば、鶏を飼えば、卵が取れるよね……。
朝からコケコッコ──ッ! って、五月蝿いのは雄だったかな。
でも雄がいないと卵を産まないのかな?
……コウタは知ってるかな?
聞いてみよ、リビングにいるばず。
私はゲストルームからリビングに向かった。
「コウタ、鶏って雄がいなくても卵産む?」
「長年の品種改良で雄がいなくても産むようになったって見たことあるが、俺達がいた時代の地球の話だし、こっちはどうかわからない。
急にどうした?」
「そっか。いや、ショップで卵安かったけど、そもそも庭で鶏を飼えばいいかなって思ったの。
あと、きな粉も安かったよ、きな粉揚げパンとかきな粉ご飯好きだし、買おうと思うけどどう?」
「きな粉と卵は買っておいていいと思う。こっちもアイテムボックスで卵の保存も出来るし。
鶏はどうだろうな。
朝からコケコッコー!って鳴いても耐えられるか?」
「五月蝿いのは雄の方なんでしょ?
卵を産む雌が欲しい」
「こっちじゃ雄がいなくても産めるか不明だぞ?」
「うう~~」
こっちで鶏の品種改良をしてる人いないかな?
いるかな、そんなん。
望み薄そう。
電気も無くて魔導具照明だし、カマドも魔石で火をつけ、お風呂のお湯も火の魔石で沸かす、ファンタジー世界だし。
魔法がある分、技術発展の仕方が地球とだいぶ違うっぽいし。
「あ、そういや水木さんが情報収集がてらギルドに様子見に行ったぞ。
あと、玄関に置いてた奏の折り畳み傘を借りてった」
「ええ? 傘はいいけど、この雨の中にわざわざ?」
「雨でも休みの日にじっとしてるのはもったいないって」
「雨の日の仕事は怠いって言ってたのに」
「休日の仕事以外の外出は平気らしい。小降りにはなってるから」
「紗耶香ちゃんはアクティブだなぁ。とりあえず、きな粉と卵買っておくね」
「ああ」
*
「ただいま〜〜」
バタンと玄関扉を開けて、紗耶香ちゃんが帰って来た。
「あ! 紗耶香ちゃん! お帰り!」
「あ、カナデっち、傘借りたよ、勝手にごめん。
あとなんか良い香りすんだけど!?」
「傘は良いよ。それと、きな粉揚げパンが今日のランチだよ。
きな粉と卵が安かったから買ったの」
「へー! 良いじゃん。 ごち〜〜」
「で、ギルドの様子はどうだった?」
「バタバタしてたよ、かなり深刻な病気が蔓延しかけてたって事で、鑑定眼持ちの人を借りたいとも言ってた。
誰が病の宿主になってるか知りたいみたいな〜〜。
でも鑑定者も危険に晒されるし、神官に浄化をさせろとか、神官も疑わしいやつ全員にかける魔力は無いとか大騒ぎでさぁ」
「コウモリ肉を食べる人って多いのかな?」
「裕福じゃない人が冒険者になる事が多いらしいからね〜〜。
あ、胡椒の価格相場だけど、銀貨どころか金貨とれたっぽいよ」
「「やらかした!!」」
私とコウタのセリフが被った。
「はあ……今頃転売が捗ってるかもしれん」
「一袋の量がたいした事無かったから、油断してたわ」
「まあ、やってしまった事はもう仕方ない、切り替えて話をもどすか」
「あ、冒険者は元々裕福じゃない人がやるとか〜〜」
「わざわざ他に仕事有るなら危険な冒険者やる事無いよな。
よほど腕に自信あって英雄になりたいとかの人は別かもしれんが」
「にしても、ウイルス怖いね、私今から布マスクを作ろうかな……無いよりはマシだと思うし」
「また縫い物か〜〜」
「紗耶香ちゃん、せっかくハンドミシンもあるんだし」
「そう言えばそれがあったね。あ、それがあったで思い出したけど、薬草採取依頼書、ささっとスマホで撮影して来た」
「そうだ、俺達薬草も採取してたな」
「紗耶香ちゃん、スマホカメラ撮影現場を誰かに見られたら、何その板? って言われなかった?」
「言われた、雑に魔道具って言っておいたし、自分で言っててウケる」
「あはは、だよね」
「まあ、映像記録出来るし、実際、魔法みたいだよな」
「あ、それより、きな粉パン!」
「あ、そうだ! あったかいうちに食べよう!」
「……甘い、でも美味しいな」
「美味しい〜〜! ウチら優勝した!」
「うん。我ながら美味しく出来たわ」
その後は、次の売り物何にすんの? みたいな話になった。
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