第14話 続、市場にて

 私達はひとまず市場で炭を探して買った。


 炭売りのおじさんから、市場で営業する為にはどこで許可を取ればいいか聞くと、管理事務の所へ行けばいいとの事だった。


「管理事務所に行く前に、バーベキューセットはスキルで買うとして、後はテントとか、屋根だけど、どうする? 

簡易的なタープのようなのでいいかな?」


 コウタは頭を悩ませてる。


「あ、じゃー、いっそ屋根を全て諦める?」

「それだと急な雨が降った時に困るし」


 紗耶香ちゃんのノーガードすぎる意見はやはりコウタには受け入れ難いようだ。


「仕方ない、タープテントをこっちのお金で買おうよ。銀貨なら買えるでしょ?

棒の……骨組み部分か何かが金属なら買える可能性ない?」


 私の提案に頷いたコウタは周囲を見渡す。


「よし、ちょっとトイレでリスト確認してくる」

「あ、私達もトイレついでに行っとく? 合流場所はあの噴水の所で」


 近くに噴水があった。あそこいい目印になると思うし。縁っぽい所に座れる。


「りょ」

「分かった」


 私達は女性用トイレに、コウタは男性用に入った。


 ……ボットんタイプですね。


 しばらくして、噴水の有る場所で再合流。


「ワンタッチタープテント、スチームフレーム……。あったわ。

宿に戻ったら安全ピンと一緒に買おうと思う」


 良かった!


「コウタ、セールみたいなのは無かった?」

「今の所は無い」

「残念だけど仕方ないね。必要経費。

お店以外にも野宿する羽目になった時にも使えるから悪く無いんじゃない?」



 それから私達は市場の管理事務所で営業許可証を貰った。



「市場内で他に行くべき所は? 何か有る人は意見を出してくださーい」


 コウタが私達の方を見て問いかけた。


「お釣り用意、と、串焼き用の串を買う。あともし安いなら包み紙? 

他には、冒険者ギルドで、どんな魔物が生息するのか、本とかリスト無いかな? 

最悪本とかがなくても、掲示板とかに討伐依頼があるなら、そこに書かれてるような魔物がこの世界にいるって分かる。用心の為ね」


 決して偶然あの推しに似たラウルさんの情報無いかな? みたいな動機じゃ無いよ。


「そういや串の事忘れてた。それと、俺が串焼き買った時に、包み紙とか袋は貰ってないな」

「すぐ食べるんじゃなくて持ち帰りですって申告で貰えた可能性はあったのでは?

コウタは袋か包む物下さいって言って無かったよね」


「あ──、油紙っぽいのあるかなぁ? あれば良いけど」

「紙が高価ならいっそ大きめの葉っぱとか無いのかな? 山や森に」


「それ森に行くのに冒険者を雇うと逆に高くなったりしないか?」


「その包み紙の代用品の葉っぱ以外の目的があったらどう? 

薪も欲しいし、例えばポーションの材料の薬草とか。

食べ物とか……それこそ鑑定眼の出番では?」


 異世界に飛ばされて薬草探しって定番じゃない?

 モンスターを倒すよりは怖くないから。 


「なるほど。鑑定眼の存在を忘れてたぜ」


 実は自分で言って私も忘れてた。


「てかクッソ弱い魔物倒したらサヤ達、レベルアップできないの?

スライムとか?」

「スライムは弱いとは限らないぞ。注意しような」


「そうなん? ゲーム序盤に出る雑魚だと思ったのに」

「有名な某ゲームならそんな感じではあったけどね」


 漫画とか小説でいっぱい見た。スライムは弱いとは限らない。

 物理攻撃が効きにくいとか、酸を吐くとか、色々。


「そこらの森にサヤ達でも倒せるモンスターいるかな、いれば良いけど」



 ひとまず私達は油紙と串焼き用の串を市場内で見つけたのでお買い上げ。

 お金も細かいのも作る為に崩し、お釣り用のお金も用意した。


 半分観光名所気分で冒険者ギルドへ見に行って、冒険者ギルドには部外者が借りれる本は無かったけど、例の依頼掲示板を見つけた。


 それによると森や山にはでかい猪や狼系の魔物、鳥系、兎系の動物系の魔物から、二足歩行のゴブリンやオークなども出るのが分かった。


「やばい、やっぱゴブリンやオークがいるぞ」


「男は殺されて餌にされて女は犯されるってやつじゃん。

見たら情け容赦なく、倒す根性がいるわ」


「やっぱ俺らは弱いうちは冒険者雇った方が無難だな。森や山に行くなら。

来たばかりでそういうやつらに遭遇しなくて、きっとかなりのラッキーだったんだ」


 ──はたして、私達は強くなれるのかな?

 それともずっと商人だろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る