約束

Aが女性、Bが男性を想定していますが男女逆転でも可です。

その場合、口調は自由に変えてください


〇〇の部分には相手の名前を入れたり自由に決めてください


A:風紀委員、Bをよく叱っている


B:不良、授業をよくサボっている所をAに連れ戻される



(A)(B)表記はナレーション風に





(A)あれからもう1年、あいつとの約束は…いまだ果たされない





A「ほんと、いつもここにいるよね」


B「(タバコの煙を吐く)…なんだ、またお前か」


A「また停学くらうよ…」


B「くらわねーよ…どうせ次は退学だし(笑う)」


A「大問題じゃん」


B「卒業したところで、なんかの役に立つってもんでもねーだろ」


A「就職とかどうするのさ…」


B「どうせ実家継ぐの決まってるからな」


A「それでも、勉強しておかないといざって時困るって…」


B「あー、はいはい」


A「はぁ…」


B「言われ飽きた」


A「そうですか…てか、こんな暑い日になんでここにいるのさ」


B「意外と、風が通って涼しいんだぜここ」


A「…まぁ、確かにそれは涼しいけど…直射日光当たりまくりじゃん」


B「そこはほら…日焼けだよ、日焼け」


A「やせ我慢じゃん…ほら」


(B)〇〇からペットボトルが投げ渡される


B「ん、さんきゅー」


(A)ジュースに口をつけたのを見届けてから話を切り出す


A「よし、飲んだな?」


B「あん?」


A「飲んだということは…代金を受け取ったってことだな」


B「なにアホなこと言ってんだ?」


A「アホでも良いですー、と言うことで…授業に出てもらいましょうか」


B「…はぁ?」


A「さ、立って立って」


B「ちょ、ちょっと…待てっての!」



B「何勝手に話進めてんだ!授業なんて受けないって」


A「でも、飲んだよね?」


B「の、飲んだけど!…あれはお前が勝手に渡してきたんだろ!」


A「おごり、とは言ってませーん」


B「ぐっ…確かに、言ってねぇが…」


(A)〇〇の最大の弱点にして、私が一番好きな所…そう、義理堅い性格なのを利用する


A「んー…それじゃあ、別な条件にしてあげても良いけど…」


B「な、なんだよ…どうせロクでもねぇ条件なんだろ…」


A「いつもお前って呼ばれるからさぁ…たまには、名前で呼んでみて欲しいなー、って」


(B)何を言ってんだ馬鹿かこいつは


B「何を言ってんだ馬鹿かこいつは」


A「…脳内の声、漏れてない?」


B「思ったままを言っただけだ」


A「よーし、じゃあ選べ、さぁ選べ、どっちか選べ」


B「……あー」


(A)こういうと、答えは決まって…


B「授業行く」


A「はい、よろしい」


B「ちっ」


(A)いつものやり取り、いつも同じ選択肢


(B)気が付いたら、これのために




A「…はぁ!はぁ!」


(A)屋上の大扉を勢いよく開ける


B「…うるせぇなぁ」


(B)肩で息をする〇〇をうんざりした目で見る


A「退学って…なに!?」


B「どっから聞いたんだよ」


A「これでも…風紀委員…だから!」


B「そういやそうだったか」


(A)いつもの口調、なのに、その顔にはいつものけだるげな感じは無い


B「喧嘩してな、それを見た人が通報して…はいおしまい」


A「はいおしまい、じゃない!」


B「なんでお前が怒るんだよ」


A「だって!…だって…」


(A)私は知ってる、喧嘩の理由…


B「んじゃ、帰るわ」


A「まって」


(B)止めようとする声を背中に、階段まで歩く


A「…これ!」


(B)何事かと後ろを振り向く、そこには、空を飛んで来るペットボトルが目に映る


B「おっと…?これは…」


A「…受け取った、よね」


B「…そりゃ、投げられりゃ受け止めるだろ」


A「受け取ったということは…代金を受け取ったってことだな」


B「…なにアホなこと言ってんだ?」


(B)いつものやり取り


A「アホでも良いですー、と言うことで…授業に出てもらいましょうか」


B「…はぁ?」


A「さ、行くよ」


B「…待て、っての」


B「何勝手に話進めてんだ、授業なんて受けないって」


A「でも、受け取った」


(A)いつもと違うやり取り


B「お前が、勝手に渡してきたんだ」


A「受け取ったの」


B「…」


(A)〇〇の最大の弱点にして、私が一番好きな所…そう、義理堅い性格なのを利用する


A「ん…それじゃあ、別な条件にしてあげても…良いけど…」


B「…どうせ、ロクでもねぇ条件なんだろ」


A「名前で…呼んで欲しい」


B「…」


A「…選んでよ」


B「…何をだよ」


A「授業に行くか、名前か」


B「…」


(A)選択できないはずの選択肢


B「授業行く」


A「…どうやってさ」


B「なんとかして」


A「無理じゃん…」


B「じゃあ、なんで選ばせんだよ」


A「退学…じゃん…」


B「…」


A「もう…授業…出れないじゃん…!」


B「…」


B「無理」


A「…うん、もう、無理なんだよ」


B「(食い気味に)って言葉、ムカつくんだよな」


A「…え?」


B「無理って言葉、ムカつくんだよな」


B「んっと、なんだっけ…大検(だいけん)?」


A「えっと、高卒認定の事?」


B「あー、それそれ、多分」


B「それ受けりゃ、大学行けるんだっけ?」


A「いや、適当すぎる」


B「細かいことは良いんだよ」


(B)グーッと伸びを一つ


B「あー、まぁ、そうなると待たせる事になるか」


A「てか、そもそも…こっちも大学行くって限らないし…」


B「(笑いながら)お前が?んな馬鹿な」


A「ど、どういう意味だよ…」


B「推薦、受けれるって聞いたぞ」


(B)よく教師から聞かされた話


(B)〇〇は大学推薦決まってるんだから、お前は邪魔するな


A「そ、それは…話はあるけど」


B「今から頑張りゃ…下手したら、お前より先に入学してたりしてな!(笑う)」


A「今2年だよ…今年受けるつもりなの?」


B「おー、善は急発進、ってやつだ!」


A「善は急げ」


B「…意味は同じだろ」


A「そもそも、そんな言葉、無い」


B「…今出来たんだよ」


(A)無茶苦茶だ


A「…高卒認定がどんなものなのかも知らないくせに」


B「それも今から調べる」


A「…ってーか!そこまでして名前呼びたくないのか!」


B「うん」


A「即答…」


(A)そこまで頑なに名前を呼んでくれない事に肩を落とす


B「…あー、まぁ」


A「…?」


B「しばらく待たせる事になるから、利子つくか」


A「借金でもしたの?」


B「似たようなもんだろ」


A「うん、ぜんぜん違う」


B「って事で」


(A)しばらくの沈黙、〇〇からの次の言葉を待つ


B「利子分って事で、次授業出たときに名前呼んでやるよ」


A「…は?」


B「うーっし、んじゃ帰るわ」


A「え、いや、待ってよ」


B「んじゃ、分からねぇ所出たら聞きに行くわー」


A「ちょっと待って!?」


B「あー、親父にも頭下げねぇと…だっる…」


A「…勝手に…!話を…!進めるなぁ!!!」


(A)あんなにうるさかったセミの声がピタッと止まる


B「うるっさ」


A「誰のせいだ!?」


B「さて、忙しくなるぞーっと」


A「だから待って!?」





(A)あれからもう1年、あいつとの約束は…いまだ果たされない


(B)あれから1年、正直舐めてた事を後悔している


(A)それでも…


(B)約束のために…




end

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