声劇台本
翔筆一茶
先輩と後輩と
おおよそ7~8分を想定しています
男女逆転も可です、その場合口調は自由に変えてください。
後輩「せんぱーい」
先輩「んー?」
後輩「先輩って、ツマミは何が好きです?」
先輩「急になんだ…牛すじとかかなぁ」
後輩「あー、いいですねぇ」
先輩「そういうお前はどうなんだよ」
後輩「んー…生ハムチーズ?とか?」
先輩「ハイカラなもん食ってんなぁ」
後輩「先輩、古いです」
先輩「うるせぇ…あ、もつ煮とかもいいな」
後輩「お肉多いですねぇ…胃もたれとかしません?」
先輩「旨いもんは旨い、それでいい」
後輩「それは確かに」
先輩「んで、急にどうした」
後輩「いやー、ほら…二人寂しく残業じゃないですかー」
先輩「そう言うなら先に帰っていいぞー」
後輩「最近、暑いじゃないですかー」
先輩「そう言うなら先に帰っていいぞー」
後輩「一人寂しく、ご飯食べるとか悲しいじゃないですかー」
先輩「そう言うなら先に帰っていいぞー」
後輩「例のビアガーデン、今日が開店初日じゃないですかー」
先輩「さて、帰る、じゃあな」
後輩「ちょい、ちょいちょい」
先輩「なんだ」
後輩「私との会話、適当に流しすぎじゃないですか?」
先輩「そんな事はない、ビアガーデンが今日開店なんだろ?だから早く帰ろうって話だろ」
後輩「そこだけ拾うなこの野郎」
先輩「お前…口悪くなったな…嫁の貰い手なくなるぞ」
後輩「誰のせいだと…いや、それ以前にですね」
先輩「おっと、とっとと行かないと席無くなるか」
後輩「先輩、会話してください」
先輩「あー、そういうのいいから、お前もとっとと帰る準備しろー」
後輩「いや、だかr…はぁ、お疲れ様でした…!」
先輩「お前、最初はカクテルだっけ?」
後輩「へ?」
先輩「あれ、違ったっけ…俺はもちろんビールにするが…あ、でもビアガーデンってカクテル系あるっけ…?」
後輩「え、えっと?」
先輩「…行きたいから連れてけ、って話じゃなかったのか?」
後輩「あ、いや、違…ってはない、です」
先輩「うっし、なら行くぞー」
後輩「あ…は、はい!」
先輩「電気消し忘れんなよー、あと鍵と」
後輩「今やりますから!先輩は先に車用意してくださいよ!」
先輩「ばーか、酒飲むのに車乗れっか」
後輩「えぇ…せめてタクシー…」
先輩「んじゃ、また明日な」
後輩「ああー!!ごめんなさい!!歩きます!!!」
先輩「いいか、あぁいうのはな、空気を楽しむもんだ…暑い中、歩いて汗かいて、そして一杯」
後輩「先輩、おじさんくさいです」
後輩「というわけで…かんぱーい!」
先輩「(黙って飲んでる)」
後輩「ちょっと、ちょっとちょっと」
先輩「ぷはぁ…なんだ」
後輩「いや、こういうのって普通、先に乾杯でしょ」
先輩「そうか、今どきの若者は律儀なんだな。おじさんには分からなかったよ(乾いた笑い)」
後輩「いや、おじさんくさいって言ったのは謝りますから」
先輩「いいか、拗ねてるんじゃないぞ。俺はごく普通に乾杯の音頭はめんどくさいなって」
後輩「私に「飲みの席では挨拶が大事だぞ」って教えてくれた人が眼の前にいるんですが」
先輩「お前…見えるってクチか?やめろよ俺はそういうの信じてないんだから」
後輩「おーいこらー、私の眼の前の人ー」
先輩「はいはいはいはい、乾杯乾杯」
後輩「うっわ、めんどくさいからって適当になったよこの人」
先輩「しかし…初日ってだけあって人多いな」
後輩「しかもあからさまに話そらした…まぁ、最近急に暑くなりましたしねぇ」
先輩「野外のビアガーデンなんかにわざわざ来ないで…クーラーの効いた部屋で飲んでりゃいいのにな」
後輩「ビアガーデンって聞いて、速攻で仕事放り投げた人の言うことじゃないですね」
先輩「誰だ、そんな社畜の鏡と言えないやつは」
後輩「常日頃(つねひごろ)から、「俺は社畜なんぞなる気はない」って言ってる人ですねー」
先輩「よく覚えてるな…お前相手に一回しか言ったことなかった気がするが」
後輩「むしろ、一回だけ言ったってことを覚えてるんですか…」
先輩「ん…そんな気がする、ってだけだ」
後輩「そうですかー」
先輩「…しかしお前」
後輩「(飲んでたグラスから口を離す)…はい?」
先輩「酒、嫌いだったろ」
後輩「え…」
先輩「歓迎会の時、上手いこと一杯目の次から逃げてたろ」
後輩「…ほんと、よく覚えてますねぇ」
先輩「それが気がつきゃ、一緒に飲みに行く回数がダントツで多い、なんてなぁ」
後輩「(無言で酒を飲んでる)」
先輩「…実は、好きだったのか?」
後輩「…ンン!?」
先輩「まぁ、飲み会はビールがメインってイメージはどうしてもあるからなぁ」
後輩「…はい?」
先輩「今どきの子だと、やっぱりカクテル系の方が飲みやすくて良いんだろ?」
後輩「…えぇ」
先輩「ま、俺と飲むときは気にすんな、好きなもん飲んで好きなもん頼め」
後輩「…ざーっす」
先輩「…急に機嫌悪くなったな…なんだなんだ」
後輩「(小声)っとに、朴念仁(ぼくねんじん)なんだから…」
先輩「なんだってー?」
後輩「いいえー、よーーーーく、見てくれてるなーーーって」
先輩「んま、俺にとって可愛い部下だからなぁ」
後輩「そうですねー、可愛い可愛い部下ですよー」
先輩「そんな部下も、いつかは俺から離れて…独り立ちするんだろうなぁ」
後輩「…それは、嫌ですねぇ」
先輩「いやいや、いつまでも部下のままじゃ居られないぞ、お前もいつかは」
後輩「私は」
先輩「んん…」
後輩「いつまでも、先輩の可愛い可愛い部下です」
先輩「…おう」
後輩「ほら、なにか頼みましょうよ…先輩の好きなもつ煮もあるみたいですよ」
先輩「お、おう…あ、このアヒージョとか言うのなんだ?旨いか?」
後輩「あ、食べたこと無いんですか?美味しいですよ」
先輩「んじゃ、それを…二人前、よろしく」
後輩「えぇ、注文しろと…分かりましたよ。すいませーん!」
先輩「…いつまでも、可愛い部下、のままじゃ…困るんだけどな」
後輩「これと、これと…ん?先輩、なにか言いました?」
先輩「あー、ビール、追加で」
後輩「だそうです、お願いしまーす」
先輩「あ、これウメェ」
後輩「あ、ちょっと、それ私のですよ!」
end
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