MFブックス10周年記念・ショートストーリー集
MFブックス
盾の勇者の成り上がり/アネコユサギ
【10歳頃の思い出】
「なんでこいつと二人っきりに……」
村の連中と一緒に、海へ漁に出た船の上……なぜか元康と二人っきりになってしまった。
みんな素潜りで海の底へ貝などを捕りに行ってしまっている。
どうしてこうなった!?
「お
「そ、そうだな」
くっ……俺も潜るべきか?
むしろ元康、なんでお前が船に残ってるんだよ。
フィロリアル達と一緒に潜っていけ!
「ふむ……お義父さんは10歳くらいの頃はどうでしたかな?」
元康が海岸で遊んでいるガキ共を見てきいてくる。
なんか遠い眼をしてるな。
卒ない返事で時間を稼ごう、きっと誰か潜るのをやめて上がってくるだろ。
「10歳の頃か、俺はゲームやアニメに夢中だったな」
日本にいた頃を思い出す。
うん。ゲームとアニメに夢中になっててクラスメイトにも広めてた。
「元康、お前は? そのころから女の尻を追ってたのか?」
10歳でそんなだったらエロガキも良い所だ。とは思うが元康ならあり得る。
「さすがに豚の尻は追ってませんでしたな。その頃は外での遊びに夢中でしたぞ」
やはりというか元康の話だとアウトドアでの遊びが多かったらしい。
俺の子供時代とは違うな。
そもそも俺の親は教育熱心だったで外ではあまり遊ばなかった……しかし、その頃には既に弟の教育に集中してたっけ。
弟の方が学校の成績良かったもんな。
まあ、弟には勉強の合間に遊び相手をしてやったんだが。
ただ……弟に変な遊びを教えるなって怒られたっけ。
それも弟がグレるまでの事で、グレたら何もできずに困って結局俺が間に入って解消したんだ。
今では弟も隠れオタクって感じだったなー。
「その頃に遊んでいた豚と数年後に再会して交際する事が多かったですぞ」
子供の頃の友達と再会ってか……何処までギャルゲーみたいな経験してるんだこいつ。
「お? お義父さん、大物が釣れましたぞ!」
元康の竿が大きくしなり大きな魚が水面に上がってくる。
それを元康は1みたいな形をした手鉤ような槍で引っかけて船に引き上げる。
無理やり引き上られそうなのに丁寧にやるもんだ。
「で、元康。なんで俺に10歳の頃の話題を振ったんだ?」
「今日のお義父さんの盾は円形で0みたいに見えるので、俺の槍を含めて10と思ったので聞いてみたんですぞ」
まあ、俺も変な事を考えることが多いしそんなもんか……海岸で村の連中が俺たちを見たらそう思うのかねー……。
なんて話をしてるとラフタリアが貝を捕って水面に上がってきた。
「戻りました」
「ああ、よく戻った」
助かった。元康だけとか微妙に気まずいんだよ。
フィーロがいたら良いのだけど元康のいる所にフィーロは来ないか。
「大量ですよ。サディナ姉さんが後から来ます」
……ラフタリアの見た目10歳と思ったけれど、どっちかというと10年歳を取ったと思えるかもしれない。
いや、10歳より幼かったかもしれない。
「どうしました?」
「元康が10歳の頃の俺は何をしてたかって聞いて来たんだ」
「10歳のナオフミ様ですか」
「ああ、思えばインドアな子供だったなーってな」
「ちょっと見てみたい気もしますね。幼い頃のナオフミ様を」
そんな気になる程か?
「出会った頃のお義父さんみたいに、幼さが垣間見える楽しそうな顔をしていたんだと思いますぞ」
おい元康……お前は俺と最初に会った頃に幼稚だと思ってたのか?
確かに夢のシチュエーションだとは思ってワクワクしてたがそこまでじゃないだろ。
「ゴホン! ラフタリアも出会って10歳くらい成長したな。本当は幼いんだから配慮しないといけないかもしれん」
「確かにナオフミ様達に比べると10歳くらい大きくなったみたいですが……あの、ナオフミ様? あんまり子ども扱いしないでくださいね?」
何やらラフタリアが照れている。
女性に年齢の話をする場合、想像より若く言えというがラフタリアは多く言ってほしいのか?
「フィッシュですぞ!」
で、元康が更に魚を釣り上げる。
ビチビチと……サバっぽい魚が釣れた。
「お姉さんはサバ読みするですな!」
「誰がサバ読みですか!」
「……正しい意味だとラフタリアの場合は逆サバになるんだがな」
若く言うことがサバを読むことになるので、歳上に見てもらいたいとなると逆サバになる。
「背伸びがしたいお年頃なのですな。ですので歳上に見せる意味で正しくサバ読みですぞ」
「そうなるか」
「ナ、ナオフミ様? その……槍の勇者の意見に同意しないでください。悲しくなりますので」
なぜかラフタリアが
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