第14話 武器屋
レグル山賊を追い払ってから一週間程経った日。
今日俺達は新しい武器を買いに来ていた。
だがら今俺達は武器屋の中にいる。
俺とセリヤは使っている武器種が違うから別行動だ。
それにしても色んな武器があるんだな。
俺は綺麗に並べられた杖を一本一本見て回っていた。
すると、ショーケースに入っている一本の杖を見つけた。
なんでわざわざこれだけショーケースに入れるんだよ。
俺は頭の中でそう思いながらそのショーケースの中に入った杖を見る。瞬間――
「何だこれ!?」
俺は店の中で大声を出してしまう。
いや、これは誰でも驚くって!
俺がその杖が入ったショーケースに張り付いていると、よくある異世界アニメの武器屋に居そうな男が俺に寄ってきて、
「おう!お前さんその杖に興味があんのか?」
笑顔でそう聞いてきた。
恐らくコイツが店主だな。
俺はこの武器の説明欄に書いてある事が本当なのかを店主に確かめる事にした。
「この杖って本当にホーミング機能が付いてるのか?」
俺のそのセリフを聞いた途端、店主が待ってましたとばかりに口角を上げて、
「お、やっぱりそこが気になるよな、あぁ本当だ。その杖にはホーミング機能が付いてる。」
そう言った。
うわ!マジか!
あ、知らない奴のためにホーミング機能を説明すると、ホーミング機能ってのは簡単に言えば相手を追いかける機能の事だ。
だから要するに、この杖で放った魔法は相手に当たるまでついて行くって事だ。
それってちょー強いよな?
え、これ欲しいんだけど。
「ちなみにお値段の方は……?」
俺は恐る恐るそう聞く。
だって絶対高いじゃん、だってホーミング機能付きの杖だぜ?そんなの聞いた事ねぇもん。
すると店主は、
「まぁそれなりにはするな、100ゴールドだ。」
苦笑いしながらそう言った。
「高っけぇ!」
俺はそう声を上げてしまう。
まぁでも仕方ないよな、こんな高性能な杖、他にないだろうし。
店主が苦笑いしながら値段を言う気持ちもよく分かる。
今までもこの杖に食いつく冒険者は山ほど居ただろうが、全員が値段を聞いた瞬間、店を出て行ったんだろう。
高い武器を売ってる武器屋も大変だよなぁ。
ここまで共感してから店を出るのは少し罪悪感があったが、それでも買えない物は買えない。
だから俺は、
「すまない、流石にその値段には手を出せない。」
そう言い、そのまま何も買わずに店を出た。
まぁ、まだこの杖が壊れた訳でも無いし、レグル山賊とやり合ってから結構レベルも上がって今はレベル15だしな。
そんなに急いで武器を変える必要も無いだろう。
だから別に急いで武器を買う気は無かったんだ。
じゃあ何で来たのかって?セリヤがついて来いってうるさかったんだよ。
俺は店を出ると、ちょうど入り口のすぐ横に設置してあったベンチに座り、セリヤが出てくるのを待つ事にした。
しばらくすると、店からセリヤが出てきた。
背中には新しい剣を背負っていた。
「お、やっと来たか」
俺がベンチを立ち上がりながらそう言うと、セリヤは両手を合わせて、
「ごめん!結構迷っちゃって!待った?」
申し訳なさそうにそう聞いてきた。
まぁ俺が店を出るのが早かっただけだしな。
「いや、そんなに待ってないから大丈夫だ」
明るくそう返した。
するとセリヤは少し安心した様に
「そう、それなら良いわ。」
そう言った。
そのセリフを聞いた所で、俺は「よし!」と、気持ちを切り替え、
「じゃあ行くか!」
セリヤにそう言った。
「えぇ、行きましょう!」
セリヤも凄く明るい声でそう言う。
こうして俺達は、今日一番の目的地、冒険者ギルドへと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます