第6話 封鎖されたスライムの森
「僕の友達がスライムの森に居るんです!」
俺達が声を掛けた少年は涙目でそう言った。
とりあえず話が長かった為、俺が簡単にまとめると、
この少年とその友達は一緒に遊んでいて、いつの間にかスライムの森で遊ぼうという事になり、スライムの森の入り口まで行く。
しかし、入り口は閉鎖されていて「現在封鎖中」という立て札が立っていた。
(これは俺達も知らなかったのだが、俺が大蛇に襲われた後、他にも襲われた冒険者が出たらしく、今は冒険者ギルドにより、スライムの森は封鎖されているらしい)
そこでこの少年は違う所で遊ぼうとしたのだが、その友達は好奇心に押され、スライムの森に入って行ってしまった。
そしてどうしていいか分からなくなった少年は片っ端から大人に声を掛け、助けを求めた、と。
まぁそんな所だ。(説明が下手ですまんな)
とりあえず今すぐ助けに行った方が良い事は明確だった。
今の
「行くぞセリヤ!」
「えぇ!」
俺達はそう会話を交わし、スライムの森に向かおうとする。
そんな俺達を少年は追いかけようとしていたが、
正直一般人に近くにいられては凄く戦いづらい。何よりも危ないしな。
だから俺は少年に「お前は危ないからここにいろ、必ず友達を連れて帰って来るから。」笑顔でそう言い、セリヤと共にスライムの森へと走った。
全く、何よりも自分優先で他の人間なんてどうでもいいと思っていたこの俺が人助けなんてらしくねぇな――なんて考えてる場合じゃないか、俺は冒険者なんだ。
あいつの友達、絶対助け出してやるさ。
スライムの森に着くと、入り口はロープで封鎖されており、少年が言っていた通り「現在封鎖中」と書かれた立て札が封鎖された入り口の前に立てられていた。
この先に封印されしドラゴンがいるかの様な、そんな雰囲気だった。
よくもまあこんな所に入ろうと思ったな。子供の好奇心ってのは恐ろしいぜ。
「よし、とりあえず入るぞ」
「えぇ」
俺達はそう言葉を交わすと、入り口を封鎖しているロープを潜り、スライムの森に入った。
スライムの森に入ると、俺達はすぐに少年の友達(ここからは少年Bと呼ぼうか)の捜索を始めた。
おそらく少年Bは、恐らく
あそこは本当に危ない、俺が身をもって知っている。もう一生行きたくないと思っていたくらいだからな。
だから先程から俺の身体からは冷や汗が身体からダラダラと流れていた。
マジで無事でいてくれよ...!
俺は心の中でそうつぶやき、スライムの森を歩く足を早めた。
スライムの森に入ってから十分程たった頃。
例の看板を通り過ぎた、未だに少年Bは見つかっていなかった。
恐らくこの奥に居るだろう。それにしても――
ここで俺は先程からずっと疑問に思っていた事を口に出した。
「さっきからずっと思ってたんだが、スライムが現れないな。」
「確かに……妙ね。」
スライムの森でスライムが現れない。
こんな事、前にもあったよな。
俺がこの不可解な現象に既視感を覚えていると、
急にセリヤが前を指さしながら声を上げた。
「テツヤ!あれって……!」
俺はセリヤの指さした方を向く。
するとそこには、
「居た……!」
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