第5話 パーティー登録
次の日、俺とセリヤは冒険者ギルドに行った。
パーティ登録をする為にだ。
「ではここにパーティーを組む人の名前をご記入して下さい。」
受け付けのお姉さんがそう言い、俺とセリヤに紙と羽根ペンを渡す。ちなみに言っておくとこのお姉さん、超胸がデカい。
「分かったわ」
セリヤはそう言い、紙とペンを受け取ると、渡された紙の名前を書く欄に、羽根ペンで名前を書いた。
これなんかに似てると思ったら、めっちゃ婚姻届に似てるんだよなぁ……
そんなしょうもない事を考えていたら、セリヤと俺が……なんて事を妄想してしまった。かぁ〜!何考えてるんだ俺は!っとまぁセリヤが紙に名前を書いてる間に気持ち悪い妄想を頭の中で展開させていた訳だが、その間にセリヤは名前を書き終わったらしく、
「はい、テツヤも書いて。」
俺に紙と羽根ペンを渡してきた。
対して俺はキモイ妄想なうだった為、
「ふぁい!?」
変な声が出てしまった。くそ、周りの視線が痛いぜ。
「よし、これでいいか?」
俺は紙に名前を書き終わると、受け付けのお姉さんにそう言い、紙と羽根ペンを返した。
紙と羽根ペンを受け取ったお姉さんは、書かれた名前を確認したあと、
「はい、これでパーティー登録完了です。パーティー専用のクエストは、ソロ専用のクエストボードの横に張り出しておりますので、クエストを受ける場合はそこから選んで下さいね。それでは頑張って下さい!」
ニコッと笑いながらそう言った。
か、可愛い!なんでこの世界の女の子はみんな可愛いいんだ!卑怯だぞ!
なんだ?このくだり飽きたって?いや、本当に可愛いいんだって!
俺は可愛らしく(胸を揺らして)笑った受付お姉さんをニヤニヤしながら見ていると、
その顔を見ていたセリヤが俺に唐突に、
「テツヤ、顔キモイ。」結構大きめの声でバッサリこう言いやがった。
痛ってぇ……その言葉、俺の胸にグサリと刺さったよ、まぁ確かに気持ち悪い事考えてた俺も俺だけどさ。
ほら、受け付けのお姉さんも引いてるじゃねえかよ!
気持ち悪い俺に対して!ちくしょう!だって仕方ないだろ!馬鹿みたいにおっぱいがデカいお姉さんにニコってされたら誰だってニヤけるって!お前らなら分かってくれるよな!?
くそ、とにかく一旦この気まずい状況を切り抜けないといけない、だから俺は無理やり顔を明るくして馬鹿みたいに明るい声でこう言った。
「と、とりあえず張り出されてるクエスト見てみようぜ!な!な!」
するとセリヤは俺の馬鹿みたいに明るい声に気圧されたのか、先程の罵倒の時の様な声色では無い、普段の声で「え、えぇ」と、言った。
ふぅ、危なかった。このままずっとさっきみたいな感じだったら俺の心が持たねぇからな。
こうして俺は突如として始まった「修羅場回避クエスト」をクリアし、
クエストボードの前に着くと、俺は上から順に掲示されているパーティー専用クエストを見ていく。
「ん……」
良いクエストが無いな。
まず、パーティ専用のクエストボードの半分以上は3、4人を前提としているであろう高難易度クエストばかり、そして残りのクエストは、逆に超簡単なクエストばかりだ。
一つ例を挙げるとすると、「パーティー皆んなでレッツ薬草掘り!」っていうクエストがある。
なんでパーティ組んでまで薬草集めなきゃなんねぇんだよ、それかなんだ?その薬草は魔王城の中にでもあるのかよ。
この時、俺とセリヤは同じ事を思っていただろう。
「良いクエストは無い」と、今掲示されているクエストの中に、俺たちに似合うクエストは無かった。
でもセリヤは何かクエストを受けたかったんだろう。何度も上からクエストの内容を読み返している。
ここに来る前、よっぽど張り切ってたもんな。今日は二人で初めてクエストを受ける日だって。
でも、ずっとここでクエストボードとにらめっこをしていても何も変わらない。
ほかの冒険者達の邪魔にもなるしな。
だから俺はセリヤに、
「今日はスライムの森でコンビネーションの練習でもするか!」
と、出来るだけ明るく言った。
その言葉を聞いたセリヤは、一瞬悲しそうな表情をしたが、すぐに
「そ、そうね!きっと楽しいわ!」
明るくそう言った。
そして冒険者ギルドの入口まで走ると、こっちに向かってブンブン手を振りながら、
「早く行きましょう!置いて行っちゃうわよ?」
そう言っている。
明らかに俺に気を使わせないように明るく振る舞ってるなあれは。
たく……演技の下手なやつだよ、しょぼくれてんの丸分かりだっての。
冒険者ギルドを出た後、特に会話することも無く、気まずい空気の中俺たちはスライムの森に歩いて行った。
そして歩き始めてから五分程経った頃、俺はあまりの気まずさにセリヤに声を掛けようとした。
こんな空気のままだったらスライムにも負けちまうよ。
俺はセリヤの方を向き、何か明るい話題を振ろうとする。
しかし、そうする前に一人の少年が目に止まった。
その少年は先程からずっと通りかかる人に助けを求めていた、表情を見れば分かる。あれは緊急事態だ。
俺はすぐにセリヤにその事を伝えた。
「一旦、話を聞いてみましょう。」
「あぁ」
こうして俺とセリヤはその少年に声をかける事にした。
「何かあったのか?」
俺は少年の近くに寄って行き、そう聞く。
すると少年は涙で潤んだ瞳を俺達に向けてこう言った。
「冒険者の方ですか?お願いします助けて下さい!僕の友達がスライムの森に居るんです!」
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