第9話 初戦闘

僕らは、南門を出て草原エリアへと足を踏み入れた。

草原には、茂みがある。


「『エナ』さんは、戦闘はしたの?」

「あ、うん。一度だけ。

前回は、スライム討伐だったから魔法で倒したの。

その時に、レベルが上がって」

「なるほど」


『エナ』さんは、それからは戦闘はせずにログインボーナスだけもらっていたということか。

ほとんど、同じ初心者ってことだな。


「『エナ』さんはほかにもこういうゲームはしたことある?」

「えっと、あんまりないかな。『ソウ』くんは?」

「僕は、あるよ。じゃあ、おおよそなんだけどなるべく毛皮や角は傷つけないように戦おうか」

「う、うん」


だいたい定番なのは、素材の価値。

毛皮や角が折れたりしていたらそれだけで価値が下がる。

そう考えると、剣や斧、槍とはたぶん相性が悪いな。

あとは、火魔法。

あれは、毛皮を燃やしちゃう。


僕は、マルチウェポンのアーツを確認することにする。

アーツと言うのは、技とかって意味かな。


ステータスを開く。

そして、ウェポンにあるマルチウェポンをタップする。

アーツは、1つ・・・。

マルチウェポンとしての固有アーツ。

『クイックチェンジアーム』。

武器を換装するアーツみたいだ。

これで、いろんな武器種と入れ替えるみたい。

武器種毎にアーツが増えていくみたいだ。

アーツは、基本的にアクティブで任意発動になるようだ。

いま装備しているグローブだと格闘術のアーツになるみたいだ。

覚えているのは、特にないな。

まあ、最初だし仕方ないよね。


「クイックチェンジアーム!弓」


僕は、アーツの名前を口にする。

すると、グローブは弓矢に変わった。

これは、ロングボウかな。

左の腰には、矢筒が佩かれている。


「わあ、武器の換装。すごいね」

「とりあえず、これで狙って行こうかと思うんだ」

「確かにそれなら傷は少なくなりそうだよね」

「うん」


そう言っていると草むらが揺れる。

そして、そこからピョコピョコと兎が飛び出してきた。

兎には確かに角が生えている。


僕は、弓に矢を番える。

そして、弦を引き狙いを定めて射る。

しかし、矢は手前で落ちた。

結構難しい。

僕は、更に矢を番える。

そして、弦を引く。

狙いを定め、勢いをつけて射る。

が、矢は手前で落ちた。


「もしかして、STRとDEXが足りない?

クイックチェンジウェポン!魔杖」


僕は、新たに魔杖へ換装した。

右手に、60cmほどの長さのロッドが握られていた。

ロッドの先には、水色の宝石が嵌っていた。

えっと、魔法の攻撃アーツは・・・全部ボールかな。


「『ソウ』くん、魔法にするの?」

「うん、情けないことに弓矢が全然当たらないから」

「でも、どの魔法を使うの?」

「どうしようかな、火魔法はダメだから。

無難に水かな」


僕は、魔法のテキストフレーバーに目を向ける。


「えっと、水よ。ここに集いて、我が敵を討て。ウォーターボール」


ロッドの先から、拳大ほどの大きさの水の弾が角兎目掛けて飛んで行った。

そして、見事に左横腹へと命中する。

角兎は、後方に吹き飛ばされる。


「おお、魔法だ」

「詠唱がちょっと恥ずかしいよね」

「そうだね。でも、割り切らないとだね」


角兎は、よろよろしながら立ち上がる。

そして、僕の方を向き突進してきた。


「クイックチェンジウェポン!格闘」


僕は、ロッドからグローブへと換装する。

でも、角兎は小さいから殴るわけにもいかない。

僕は、サッカーボールを蹴る様に角兎を力いっぱい蹴り上げた。

ゴキっと鈍い音と共に、何とも言えない感触が右足に残る。

ドサッという音がして、角兎は地面に落ちた。

少し様子を見ていたが動く様子がない。


「初戦闘、お疲れ様。『ソウ』くん」

「見守ってくれてありがとう、『エナ』さん」


僕は、倒した角兎に近付く。

手を振れるとインベントリに入っていった。


「角兎肉っていくつ必要だったかな?」

「えっと、2つだったはずだよ」

「じゃあ、4羽倒せばいいのかな?」

「うん、頑張ろうね」


僕らは、それから角兎を狩っていく。


僕の魔法はどうやら弱いようだ。

『エナ』さんが、ウィンドボールと僕のウィンドボール。

同じ魔法なのに、僕が角兎を倒すのに2発。

彼女は、1発だった。


『レベルが上がりました。

ステータスポイントを割り振ってください。』


そして、僕のレベルが上がった。

あ、ステータスポイント!

僕、振ってなかった。


『称号取得条件を達成しました。

称号:『質素』を獲得しました。

称号;『質素』と『倹約家』が、『質素倹約』に変更されました。』


称号を手に入れたら、称号が統合された。


「えっと・・・称号が増えて合体した」

「『ソウ』くん、すごいね」

「なんか、僕がうっかりしていて手に入れたようなとても不本意な称号な気もする」


僕が、ステータスポイントとスキルポイントを振り忘れたから手に入れたものだしな。


----------------------------

プレイヤーネーム:『ソウ』


種族:人族

LV:2

HP:120/120→180【NEW】

MP:15/15→35/35【NEW】

STR:6【NEW】

VIT:6【NEW】

INT:6【NEW】

MND:6【NEW】

AGI:6【NEW】

DEX:6【NEW】

ステータスポイント:0

LUK:5【NEW】

CHA:5【NEW】


ウェポン(メイン):マルチウェポン(7)

●剣術:LV1

アクティブアーツ:スラッシュ

パッシブアーツ:なし

●斧術:LV1

アクティブアーツ:スイング

パッシブアーツ:なし

●槍術:LV1

アクティブアーツ:ピアース

パッシブアーツ:なし

●弓術:LV1

アクティブアーツ:なし

パッシブアーツ:HIT微UP【NEW】

●格闘術:LV2【NEW】

アクティブアーツ:インパクト【NEW】

パッシブアーツ:HP微UP

●鈍器術:LV1

アクティブアーツ:インパクト

パッシブアーツ:なし

●魔杖:LV2【NEW】

アクティブアーツ:なし

パッシブアーツ:MP微UP【NEW】


ウェポンアーツ:クイックチェンジウェポン

マジック(メイン):初級魔法(6)

●火魔法:LV1

攻撃アーツ:ファイアボール

補助アーツ:なし

●水魔法:LV2【NEW】

攻撃アーツ:ウォーターボール

補助アーツ:ミスト【NEW】

●風魔法:LV2【NEW】

攻撃アーツ:ウィンドボール

補助アーツ:サイレント【NEW】

●地魔法:LV1

攻撃アーツ:ダートボール

補助アーツ:なし

●光魔法:LV1

攻撃アーツ:なし

補助アーツ:ヒール

●闇魔法:LV1

攻撃アーツ:ダークボール

補助アーツ:なし

セットスキル(5):採取:LV1

控えスキル:なし

スキルポイント:10(初期値)

称号:質素倹約【NEW】、堅実、友愛


武器(左):

武器(右):ノービスマルチウェポン


防具

頭:なし

胴(胸):ノービスシャツ

胴(腰):ノービスズボン

腕:なし

脚:ノービスブーツ


アクセサリー

耳:なし

首:なし

指:なし


その他

ポーチ:レザーシザーポーチ(黒)

リュック:シンプルバックパック(ベージュ)

採集:初級スコップ(ライトブルー)




--------------------------


プレイヤーネーム:『エナ』


種族:人族

LV:3

STR:1

VIT:1

INT:6【NEW】

MND:6【NEW】

AGI:1

DEX:5【NEW】

ステータスポイント:0

LUK:3

CHA:3


ウェポン(メイン):魔杖:LV1

マジック(メイン):風魔法:LV1

セットスキル(5):

MP増加:LV1

MP自動回復:LV1

風魔法強化:LV1

魔力操作:LV1

採取:LV1

控えスキル:なし

スキルポイント:2

称号:倹約家、友愛


武器(左):

武器(右):ノービスロッド


防具

頭:なし

胴(胸):ノービスシャツ【衣装:朱羽織】

胴(腰):ノービスズボン【衣装:ロングスカート(桜)】

腕:なし

脚:ノービスブーツ


アクセサリー

耳:なし

首:なし

指:なし


その他

ポーチ:パステルウェストポーチ(ピンク)

リュック:パステルリュック(ピンク)

採集:初級スコップ(ピンク)


-------------------

称号:質素

【条件】ステータスポイントを一度も使用せずにLVUPする。


称号:質素倹約

【条件】称号:倹約家と称号:質素を獲得する。

【効果】ステータスポイントを均等に振り分けられる。

LV1毎に全てのステータスに1ずつられる。

ステータスポイントは自動で振り分けられ、『0』表示になる。

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