入社式当日から感じたプレッシャー
3月21日、国家試験を無事に終えた私は、雪国から都心へと就職のため上京しました。
保育園栄養士としての採用でした。
後日入社式があるというバタつくスケジュールでの人生初の引っ越しとなった私は、部屋の片づけや家具の設置を丸投げする形となりました。
3月22日、この日は午前入社式、午後は各々の配属先へ挨拶に赴く日程でした。
入社式では、昨年実施された内定者懇親会で親しくなった同期や、運良く同じ園に配属となった保育士の同期と会うことができ、嬉しかったのをよく覚えています。
運良く、この言葉の意味を載せておこうと思います。保育園に配属されるうえで、1つの園に栄養士が2人以上配属されることはありませんでした。また、自分が配属される保育園に、同期の保育士が必ずいるとも限らなかったのです。
その中で、保育士の同期が2人、同じ配属先にいる私は相当ラッキーでした。
午後、保育士の同期と共に配属先に到着しました。園長先生に案内され、子どもたちのいない部屋で、園の特色や人数など、パンフレットを基にお話ししてくれました。園では、先生のことを名前で呼んでいることも教えてもらいましたが、それは保育士限定で、栄養士はそうではないようでした。園長先生が私のことを、名前で呼んでくれましたが、なんとも慣れていないような、無理をしているように感じました。
栄養士側のこと、苗字で呼んでいるなら、無理しなくていいのになぁ…と思ったほどです。
きっと、私だけ苗字呼びにすると、違和感というか、何故?という疑問を抱かせてしまうと思ったのでしょう。
話しは次第に、保育士に関係する内容へと移っていきました。私は、栄養士のリーダーが来るまで待っていてね、と言われたので、メモ帳や質問することを確認しながら、隣のテーブルで待機していました。
すると扉が開き、新しい人が入ってきました。その人が栄養士リーダーの方でした。
自己紹介をし、栄養士の業務について話を聴き、必要事項をメモをとっていきます。その中で知った現場の状況は、
・調理場は3人体制で行っていること。
・早番、中番、遅番に振り分けてシフトを作成していること。
・私は、3月いっぱいで異動する方の補充配属であること。
以上でした。ちなみに、異動する方は私の一つ上で、昨年新卒で配属になったということも教えて貰いました。
私は、慌てず、焦らず、自分のペースで業務を覚えていこう!と気合を入れましたが、次の瞬間その心意気は崩れ去りました。
「4日間で遅番の仕事覚えてもらうから。」
…え?4日?
思わず声を出してしまいましたね。しかも私、物覚えが悪いときた。
4日で覚えきれる自信がないこと、覚えが悪いことを必死に伝えました。言わないよりはマシだろうと。しかし私の訴えは全く効力を発揮しませんでした。
「大丈夫、異動する子ができたからできる。」
いや、その方と私が同じだと思わないでほしい。切実に。これはなんとか抑えました。口に出したらマズイと思ったので…
よく我慢したな自分…と小さく褒め称える一方で、不安がむくむくと出来上がっていきます。思考がぐるぐると回り始めた私の耳に入った言葉は会心の一撃でした。
「そうしてくれないと仕事が回らない。」
あ、これはやばい気しかしねぇ。
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