【感動する話】告白を振ったのに私が泣いた本当の理由....。

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【感動する話】告白を振ったのに私が泣いた本当の理由....。

今までチヤホヤされて生きてきた人生だった。自分は選ぶ側の人間で、男はあっちから寄ってくるものだと思っていた。それなのに私は今、失恋して号泣している…。


大学時代、私は仲良し三人組といつも一緒にいた。いつも三人の中心にいた健介に、明るさとガッツが取り柄の美羽。そして静かに二人のやりとりを見守る私、といった構成だ。

私達は新入生歓迎会に出会った。歓迎会がつまらないからと、抜け出して三人でご飯に行った。その時、腹がよじれるほど笑ったのをよく覚えている。ボケ担当が健介で、そのボケに悪ノリするのが美羽。そして、冷静にツッコミを入れるのが私という、それぞれの担当がいつのまにかできていた。それから授業も三人一緒にとったし、お昼も空きコマも全部三人で過ごした。サークルや学生団体にも行ったりしたが、結局三人でいるのが楽しいとわかり、途中で抜け出したりもした。このまま、卒業後も休みの日に集まれたらいいな、と思っていた。


私は大学でもある程度モテた。ナンパもされるし、今の時代に、手紙で告白されたこともある。健介も美羽も冷やかして笑っていたけど、今考えれば健介はうまく笑っていなかったかもしれない。

私は、健介にも告白されたのだ。美羽には結構相談に乗ってもらっていたらしく、前から告白のタイミングを狙っていたらしい。私は驚き、戸惑い、悲しかった。今までの笑っていた時間は友達としてではなく、気になる人として意識していたのだろうか。自分が楽しむのではなく、私を笑わせることを考えていたのだろうか。今までの思い出が偽物になった気がして、気持ち悪くなった。

私は健介を振った。私のこの嫌な気持ちも全部伝えた。しかし、それでも私達三人は仲良しのままだった。そこが健介の凄いところだ。振ってからの一、二週間は流石に気まずかったが、一ヶ月後には普通に三人で遊んでいた。卒業旅行にも行った。健介が私に告ったこともネタになり、お酒が入ればその話題でよく盛り上がった。これが私の素敵な青春時代だ。


三人はそれぞれ別の職種、土地で就職し、離ればなれになった。社会人一年目の時は定期的に集まったが、それ以降は全くだった。


社会人四年目になった頃、私は居酒屋で健介に遭遇した。


「久しぶりだねー。元気だった?」

「健介こそ、お酒飲みすぎて体壊してない?まさか、まだタバコ吸ってたりして」

「もうやめたよ。最近はお酒も控えてる。会社の飲み会?」

「まぁそんな感じ。健介は?」

「俺も同僚と飲みにきてる」

「うわー女だなぁ?」

「ちげぇよ笑」

「てか、今度二人で飲もうよ」

「お、いいね。久しぶりに色々語りたいもんなぁー」


大体こういう場合、口約束で終わり、結局疎遠になるのがオチだ。しかし、私達は意外にも予定が合い、二人で飲むことになった。


「こうして二人で飲むの何年ぶり?」

「大学時代も大体三人だったからなぁ。もしかしたら初めて?笑」

「かもね笑健介はどう?仕事の方は」

「まぁ順調っちゃ順調。って仕事はどうでもいいさ」

「じゃあ何?恋愛とか?笑」

「そうだよ!あの大学のマドンナであった架純さんの恋愛事情は気になりますよ」

「なにそれ笑何にもないよ、ほんとに」

「嘘つけー笑会社でもモテるでしょ?」

「別に。いい人も全然いないし」

「そっかー」


私達は最近の近況報告やら大学時代の懐かしい話しやらで盛り上がった。話すネタはいくらでもある。

あっという間に時間は過ぎ、私達は三軒目まで飲んでいた。


「もう終電ねぇよーどうすんだー」

「飲むしかないっしょ!まだ飲もうよ」


二人ともかなり酔っていた。そして、私達はホテルに入った。私は、健介に抱かれた。私は、健介に処女をあげた。健介もこれには驚いていた。


次の日はお互いに仕事だったため、始発で帰ることにした。駅までの道のりで私は打ち明けた。


「んね、ほんとだったでしょ?恋愛してないの」

「うん…。正直、結構びっくりした。なんか、ごめん」

「謝らないでよ…。なんか惨めじゃん」

「そうだよな。じゃあ、ありがとう?笑」

「それも変だね笑」


二人で笑った後、沈黙が続いた。二人とも下を向いてただ歩くことだけに集中している。

私は、心臓が飛び出そうだった。


「ほんとはね、ずっと好きだったんだ私」


健介は黙ったままだ。私が続ける。


「ずっと待ってた。健介がもう一度、私に告ってくれないかなーって」

「そう…か」

「あの時は確かに振ったけどさ。ずっと後悔してたんだ。社会人になっても忘れられなくて…だから!」


私は足を止めた。健介も私の少し先で止まった。健介は振り返り、私の目を真剣な表情で見つめた。そしてゆっくりと、指にはめている指輪を見せた。


「今日はありがとな。けど、今日で終わり。もう、会えそうにない」

「それ…」

「社会人になってからもちょくちょく会ってたんだ。あいつといると大学生みたいにバカ騒ぎできて、仕事で嫌なこととか忘れられるんだ。まぁ、ツッコミがなくて物足りなかったけどな笑」

「そう…だったんだ」

「ああ。結婚した。もうすぐガキも産まれる」

「そう…。おめでとう」

「ありがとう。じゃあ、元気でな」


私はしばらく放心状態だった。抜け殻になったようにふらふらと歩いた。歩き疲れた頃、ふと立ち止まると、涙が溢れてきた。  

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