じうよく

踏み下ろす踵の間にあるじうよく

足が憶えているじうよく


目でみえる 「いやだ」をくっきり

残すな ぼくのばらばらのおと


特売の旗ひらひらと映すあれは

たぶん捨てられたたばこ


ああ言えばこう言う空が

恋までの時間を街ごと盗みゆく


湘南でちよちゃんが

悲しそうに悲しそうに売るくすり


電波塔一日手を広げたままで

辛そう あ 雨降りそう


犬が猫にセクハラして

逮捕したうさぎが訴えられている


「このバスはイマジンの

影響で天国から駅行きへ変わります」


平日のしまむらの下着売り場にて

ひっそり飴食む天使あり


サンタ待つ君よ 予知せよ

シロクマの吐く息はもう来ること


星をふと冥王Plutoと名付けた

少女の魂とはやぶさが会う確率


鈴虫も蝉も声なき庭に

干からびたミミズ咥え猫の廻る


「あ 」「あの 」「ある」 「ああ」 「ありがとう 明日」

予測変換がくれる未来たち


すうすうと眠る君も絞め殺せぬ

イルカがベランダを泳ぎおり


隣人は人参が嫌いですぐいじけて

僕はラーメンで舌をやけどした

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