合法ショタと呼ばれる俺が生身でVtuberをすることになったんだが

まよつな

第1話 社畜の合法ショタ

「…まだ書類ができてないのか!」


「すみません…まだできていないです」


「今週中に出せといっただろう!」


「ぇ……しかし課長……昨日来週末までと……」


「黙れ!私は”今週中”に出せといったんだ!……それとも私が間違っているというのかね……山下くん?」


「い、いえ…すみません……急いで仕上げます。」


「ふん!分かればいいだよ……まぁ…しかし?…私は優しくて部下思いの課長だからなぁ…山下くんがどうしてもと言うなら後で休憩室にきなs..」


「し、失礼します!!申し訳ございませんでした…!」


「――チッ」


俺は山下響。21歳。俺は自分のことを社畜だと思っている。


毎朝早起きして仕事に行き、一日中怒られながら一生懸命に働いて、セクハラを受け、定時カード切らされて、日付が変わる時間まで働かされているただの社会人だ。徹夜をして会社に泊まることもしょっちゅうある。


毎日虚ろな顔をして死んだ目で同じ顔をした同僚たちと働いている。


念の為言うが俺は男だ


ちなみに男の俺がなぜセクハラを受けるかというとおよそ顔と身長だろう。

小学生の時まで俺は背が高かったのでクラスで並んでも一番うしろにいた‥のだが


中学校、高校と年齢を重ねていくたびに異変に気がついた‥

俺はほぼ0%といっていいほど体が成長がしないのだ‥。

病気だと思い病院に駆けつけても症状が分からず、どうやら第二次性徴期もいつの間にか終わっていたらしい。


だから俺はセクハラをされるような俺が嫌いだ。可愛いと言われる俺が嫌いだ。


こんな毎日を送っているといつか鬱になってしまうんじゃないかと思う。


でもそんな俺を救ったものがある、それは……


「こんにちワイワイ!みんなの光!日月光だよ〜今日やるのは〜〇〇っていうげー……」


Vtuberだ。


この子は日月光(にちげつひかる)。俺の推しだ。今つーべーという配信サイトで有名になっているハローライブに所属している


俺も一ヶ月前まではVtuberのことを全く知らなかった‥‥というか知る時間も余裕もなかったのである。


しかしある日一緒の時期に会社に入った同期が仕事で滅入っている俺のことを心配して、「お前には推しが必要」だといって俺にVtuberを進めてきた。


最初は俺も断ろうとしたが


「いやいやいやいや絶対見るべきだ!Vtuberっていうのはなみんな可愛くて面白くて可愛くて癒やされて可愛いんだよ!なんか…!こう…!心が浄化されるというか!?今日も一日頑張ったんだって!明日の配信を見るためなら仕事も頑張ろって!感じることができるんだって!それにお前ももし推しを見つけることができたら本当に世界変わるんだって!世界がハピネスゥ⤴!みたいになるんだよ!」


「そんな危険なドラッグみたいになるの怖いんだけど...」


「―――それに俺はお前の同期であり少なくとも誰よりもお前のことをみていると思ってる。そんな俺がお前をみて提案しているんだ。だから、な?」


「……はぁ。わかったよ。一回だけ見てみる。」


「おぉ!わかってくれたか!流石は俺の同期だな!」


「言い方がずるいんだよお前…」


とこのような感じで見始めたが予想異常に可愛くて面白いVtuberを見るほどにハマり俺はいろんなVtuberを見漁るほどになっていた


ちなみにそのことを同期に話すと「計画通り‥!」と呟いていた


そんなこんなでVtuberを見始めた俺だが最近推しを見つけたのである


それがこの子日月光ちゃんだ。


光ちゃんはゲーム配信を主にしているVtuberで明るくて可愛くて無邪気な子である。

しかしどこかしら包容力を感じるこの子に俺はハマっていた。


そんな俺は今日推しの生配信を見る


いつもどうり配信を楽しく見ていると光ちゃんが思い出したように話した


「あっ!忘れてた!そういえばマネージャーさんに言われてたんだった!」


コメント欄がざわつく


:ん?

:ん?

:どうしたの?

:言われてたこと?

:光ちゃん忘れっぽもんなw

:光ちゃんしっかりしないと〜w

:光ちゃん;;


「えっとねぇ…今度ハローライブが四期生の募集をするんだって!光にもついに後輩ができるんだって!楽しみだなぁ〜!」


:えっ!

:おお!

:おおおおおおおお

:うおおおおおおおおおお!

:ついにか!

:待ってたァァァァ!

:やったぁぁぁ!

:ついに光ちゃんにも後輩が!

:光ちゃんの後輩かぁww

:光ちゃん逆に世話されそうな感じするw

:それなw


「もう!光だってちゃんと先輩できるよ!いっぱい先輩としてがんぱるんだから!

あっ!あと光のこの動画の概要欄からハローライブのかたったーの方に飛べるから光の後輩になりたい子はいっぱい応募してね!」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「へぇ~四期生が来るのか〜」


今ハローライブは一期生が一人、二期生が二人、三期生が光ちゃん含めて四人で行っている


ハローライブは二期生まででも十分に知名度があったが三期生が多かったこともありVtuberという職業も知名度が上がり今ではハローライブは大手企業となっている


そんなハローライブが三期生を入れてから一年。ついに四期生の募集を始めたらしい


「募集かぁ〜まぁ俺には関係ないなぁ‥男だし」


正直に話すと俺はVtuberになれたらいいなと思っている。今まで低い身長と童顔によって不憫な生活を送ってきた。


しかもVtuberならガワを被って配信するので自分でも何も気にせずに働くことができると思ったからだ


そんな理由でVtuberになりたいとは思う。思うが‥ハローライブが募集しているのはきっと個性があって話が良くできて面白くて中身が可愛い子でありおれみたいな個性もなく人と会話することもできず外見がコンプレックスで自分のことが嫌いなひとではないということぐらい自分でもわかっている


「はぁ‥」


俺はため息を付いて布団に潜り込んだ。


ブラックな会社の仕事の疲れもありいつの間にか俺は眠りについていた


・・・後日俺はいつもどうり憂鬱な顔で会社に向かっていた。会社に着き自分の仕事場で座っていると俺にVtuberを進めた同期が俺に話しかけてきた


「なぁ山下!昨日のハローライブの公式かたったーみたか?」


「あぁ四期生ぼしゅうのやつだろ?光ちゃんが告知してたから知ってるぞ‥?

それがどうしたんだよ?」


「俺お前のこと応募したから!」


「...は?」


「俺お前のこと四期生に応募しといたから!」


「ハ?」








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