常夏のシーサイド

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第01話 再会の越冬 01

 陽が照らしている間さえ静かなこの家も、ニールには一層静かに感じた。両親が出掛けているのもあるが、なんせ、いつも懐いてくる妹も両親と一緒に家を空けているからだ。

 辺りは暗くなり、雪は涔々しんしんと降り積もる。晩ご飯まで待てばいいのだが、昼に食べていないため、限界だ。部屋のドアを開けて、何か間食として食べる物を探そうと下の階に降りた時だった。


「ここは通しませんよ、ニール様」


 目の前にいたのは、よく見知ったメイドの女性だった。

「あっ! フロウディア!」


 僕よりも高い身長……両腕を広げて、その胸へと招き入れるように……優しく抱擁してくれる気がした。

 暖炉の炎が彼女の相好を照らした。優しい目をしている……それを確認して彼女に飛び付いた。


 バフッ!


「こんばんは、ニール様……」

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