雲外蒼天~嫁入り先は神の国!?ウソでしょ?~
桔梗 浬
選ばれし者
第1話 プロローグ
この物語は…。
最強で最高の神になることを期待された一人の神(見習い中)と、そこに嫁ぐことが定められた人間の娘の成長物語である。
………?
……うん? うん?
「ちょっと待ったーーーっ!」
先ほどまで大人しく話を聞いていた男が、今にも暴れだしそうな勢いで抗議する。
「俺は既に最強の神だし、嫁をもらうなんて聞いてない!」
「
が…実際のところ酒造りに興味もなく、ましてや人間に対してこれっぽっちも興味を持っていない、ダメダメ神(見習い)なのである。今も不貞腐れて頬づえをついているのが何よりの証拠。
「
「またそんなお戯れを。先日お辞めになられた蘭丸さまが、お教えしておりましたよ。どうせ寝ていらっしゃったのでありましょう?」
「むむ…」
蘭丸とは、先日まで
「それでは、私めが
長い尻尾を自分の腰に巻き付け、酒の壺を胡座をかいた足の中央に乗せる。壺の中身は今年人間から献上された日本酒が入っているようだ。
「よろしいですかな? ここ神の国では100年に一度、人間界から嫁をもらうのがならわし。そして二人が協力して最高の酒を作り、
「父上はただの酒飲みだ。もう酒の旨味もわからないだろう? 最高の酒など造る意味はないじゃないか。そもそも、人間が定期的に送ってくる酒で十分ではないか!? ということで嫁をもらう必要もない」
「
「そうでしょうとも。そうでしょうとも! さぁ次の満月の時、人間界から姫となられる方が来られるのです。しっかり準備いたしましょう。あ…」
「なんじゃ?」
そこには人の子と思われる少女たちが、ゆらゆらと映り込んでいた。
「
「ふん」
そこには、3人の少女が楽しそうに花を摘み籠に入れている風景が見えた。その中でも
「
「
「かしこまりました」
そういうと
人間の年齢でいうと
人間界は今、春まっさかり。綺麗な花々に包まれて、新たな出会いが生まれる予感がプンプンしている。
さきほどの湖面に映った少女、
「わ、私としたことが…人間界の出口を間違えてしまった! はぁはぁ…はぁはぁ…」
ここは人間界。
綺麗な水脈のある川辺を、
大きなもふもふの白い尻尾をピント伸ばし、
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