(仮名)貞操観念逆転世界に転生した僕はいろんな人から愛される
きよすいようはねた
第1話
「オイ、クソアニキ!ちょっとアイス買ってきなさい!」
などという到底綺麗とは言えない言葉を吐いた
「なんで、僕が?・・・・」
「なに?口答えするの?身の程を分からせる必要がありそうね?」
「ま、待って待って!分かったよ!すぐ買ってくるから!」
「10分以内よ?じゃなきゃわかってるわね?」
言われて直ぐに家を飛び出る。
ふ、ふざけるなよ!
僕は【
確かに僕は太ってるし、お世辞にも顔が普通だとかイケメンだなんて言えない。
正直に言えばブサイクそのものだ。
妹の
おそらくそれ相応に化粧とかして、大人っぽい服装にすれば高校生と称しても気づく人は少ないだろう。
でもこんなことをされる謂れは無いはずだ。
理不尽な命令に怒りを感じながら、重い体を必死に走らせる。
10分という制限時間を付けられた僕は必死に近くのコンビニまで走っている。
都合よくこの先の信号が青のようだ・・・
その信号を1人の女子高生が歩き出そうとしている。
一応信号は確認しているようだが、スマホに目を取られているのか周りが見えていない様子だ。
しかし少し離れた場所にいた僕は気づいてしまった。
横から赤信号が見えていないのか、スピードを落とすことなく・・
いやむしろ上げるようにして加速している車が来ている。
マズイ!!!
自分がどうなるかなんてことも考えずに残った体力を一気に使って僕は必死に駆け出した。
「危ない!!!」
そう言いながら女子高生を突き飛ばした。
そしてその直後に僕は跳ね飛ばされ、激痛が体を襲う。
痛いが声も出せない・・・
ああ・・・僕は、死ぬのか・
クラスでいじめられ、妹にもいいように扱われて、その末に僕は死ぬのか・・
突き飛ばした女子高生が戻ってきたのか何かを叫んでいる。
涙を流しながら僕の血にまみれながらも、出血している場所を必死に抑えようとしてくれているようだ。
多分、彼女自身にもわかっているのだろう・・
この怪我では僕が助からないことを・・・・
ああ・・・・そうか・・・
僕の今までの人生はこの時の為にあったんだ。
確かにこの女子高生も普段であれば僕に見向きもしなかっただろう。
いやあまりの醜さに辟易したのかもしれない。
それでも自分を助けた恩人に対して、できる限りの恩を返そうとしてくれている。
今まで僕の周りには、そんな人はいなかった。
どれほど尽くそうとも、皆笑って、叩いて、蹴とばしてきて・・・
報われることなんてなかった。
だけど僕は最後の最後で報われた気がした。
そう思いながら、徐々に重くなってきた瞼をゆっくりと閉じた。
ゆっくりと瞼を開けると、日の光がまぶしく感じる。
目を覚ましたのは壁も天井も白で統一されたところだった。
どうにもベッドに寝ているようだ。
ゆっくりとぼんやりするなかであたりを見渡してみると、点滴のようなものが見える。
病院・・・?
確かに僕は撥ねられた。
だけど意識がもうろうとしていた自分自身でもわかるくらいに助かるような傷では無かったはずだ。
そう思い病院着を少しはだけさせて、自分自身で確認できる限りで全身をチェックしてみる。
どう見ても傷跡が見当たらない。
車に撥ねられて出血を伴う怪我であれば、必ずといって良いほどに傷跡が残っているはずだ。
しかしそれが見当たらない。
それに・・・電極みたいなものが体にくっついている。
見た感じこの病室は一般病棟のように思える。
少なくともテレビで見たような集中治療室とかいうところには見えない。
なのに何だろう・・・?この厳重さは。
まるで危篤状態の患者を常にモニタリングするかのような厳重さだ。
加えて奇妙に思えたのが、ここが個室だという点だ。
ただの個室ならば納得がいく。
しかし6人部屋だと説明されても頷けるくらいに広い病室に、ベッドがポツンと一つだけ。
僕の母親である、瀬田
基本的に養育義務だけは理解していたため食事は作ってくれていたが、声をかけてくれることはなかったし、洗濯だって自分でやってた。
あの母ならば僕を個室に入れるようなことはしないはずだ。
なのになぜ・・・
分からないことだらけだったが、なんとなく電極が邪魔に思えて全て引きはがした。
ピーーーーーー
と無機質な音が鳴り続ける。
やべ!電源切らないと心拍とかが取れないから死人扱いになっちゃうんじゃ!?
そう思っていると、凄まじい勢いで病室のドアが開け放たれて看護師が雪崩れ込んでくる。
「え!?」
僕が目覚めた状態で起き上がっているのが不思議なのか固まる看護師1人目。
まぁわかる気がする。
心電図のモニターがあり、ネットが繋がっているのなら、ナースステーションとかで常時状態を確認できるようになっているはずだ。
それが止まったのなら心停止を疑って飛び込んだら、目覚めて起き上がっている患者・・・
うん、一瞬混乱するのも仕方ないよね・・・
「なにしてるの!?早く心臓マッサージを・・・」
と大声を出しながら入ってくる看護師2人目・・
「あ・・・あはははは・・・・・・」
何とも言えなくなった僕は思わず苦笑いが出てしまった。
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