Day16『レプリカ』

 酷く蒸し暑い〈夏〉の海に、〈手を繋ぐ〉男女が立っていた。

 男は〈俺〉によく似ていたけれど、誰かと甘い一時ひとときを過ごした思い出はない。振り返った男と目が合うと、「あれは〈鎖〉だ」と告げて、静かに泣いた。

 何を繋ぎ、何に繋がれていたのかも曖昧なのに。寝起きの胸は〈苦しい〉と悲鳴を上げていた。

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