Day5『蛍』
何周目かの夏に終の棲家を失くした蛍は、遥か昔に住んでいた家屋の裏に表出した、記憶の清流に還り着いた。
一度の願いを使い、置いてきたものを見に来たのだが。
時は流れ仮想の世界。残した場所も在る場所も、全てが現か幻か。
一夏の光に奪われる目や心を持つ人は、現世の何処にも存在しなかった。
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