Day3『文鳥』

 桜吹雪に乗って飛び立ったあの子は、白雪に紛れて還ってきた。

 名前を呼んで手に乗せて。触れた瞬間、解けたあの子は泣いていた。

 季節は巡り、雫と落ちた薄紅が、ビニールの上を滑っていく。

 それは舞って消えたあの子の涙で私の心。

 隠せもしない痛みごと、あの子が拐って、掬って、救って、さようなら。

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