31.第3日 恐怖の地下鉄改札口2

 ボクは過去に何度もソウルの地下鉄に乗っていますが、こんなことは今回が初めてです。いったい何が起こっているのでしょうか? 


 これが日本だったら、何が起こっているのか駅員さんに聞けばいいのですが、ここは韓国です。ボクの拙い韓国語の能力では、とてもそんなことは聞くことができません。それに日本だと改札口に必ず駅員さんがいるものですが、韓国の駅はなぜか改札口でも駅員さんがいないことが多いのです。このときも、改札口に駅員さんは一人もいませんでした。


 ボクたちは途方に暮れて、しばらく改札口でたたずんでいました。


 しかし、改札口でじっとしていても仕方がありません。


 ボクたちはもう一度、自販機に戻って、今後は二人分の『安国アング駅』までの『1回用交通カード』を購入しました。


 しかし、改札機で同じことをしても、またチャージしたお金が消えてなくなるのは間違いありません。


 そこで、ボクたちは改札口の正面に立って、韓国の乗客たちがどうしているのかを観察することにしました。


 これから電車に乗る韓国の乗客たちはみんな、何事も無く、普通にカードを改札にタッチして、バーを押して中に入っていきます・・・


 また、電車が到着すると、降りる人たちが改札口にやってきて、同じようにカードをタッチして、バーを回して外に出てきます・・・


 しかし・・・それらを見ていて、ボクはあることに気づいたのです。それは、駅の中に入る人や、駅の外に出る人が使う改札機が、なぜか偏っているということでした。


 ここで、今日の近況ノートを見てください。URLはこちらです。

 https://kakuyomu.jp/users/azuki-takuan/news/16817330663975722042

 

 写真の番号は前回からの通し番号にしてあります。


 さて、⑥番は前回と同じ『乙支路入口ユージロ イルグ駅』の改札口の写真を再掲載したものです。⑥番は前回と同じ番号です。ちょうど、何人かの人が改札口を通って中に入ったところですが・・・みんな、写真の左側の改札口を利用していて、右側の改札口を使う人は誰もいません。


 えっ、どうして?・・・


 ボクは改札口を凝視しました。すると、どの改札口も全く同じ形をしているのですが、一ケ所だけ異なる部分があるのに気づきました。

 

 もうお分かりだと思いますが、改札には『赤色のストップマーク』と『緑の矢印』の二種類が点灯しているのです。もういちど、⑥番の写真を見てください。駅の中に入る人たちは、みんな『緑の矢印』が点灯している改札機を使っています。また、電車が到着して、乗客が駅の外に出るときは、乗客はみんな、こちらから見て『赤色のストップマーク』が点灯している改札機を使っていたのでした。


 これで判りました。


  『赤色のストップマーク』は降車客専用の改札口であり、この改札口では降車客が駅の中から外に出ることは出来ても、乗車客が駅の外から中に入ることは出来ないのです。


 そして、乗車客が間違って『赤色のストップマーク』の改札にICカードをタッチすると、まだ電車に乗っていないのに降車したものとみなされてしまうのです。その結果、チャージしている金額がカードから消去されるというわけなのです。


 ボクたちはこれに気づかず、うっかりと『赤色のストップマーク』の改札口にICカードをタッチしてしまい、チャージ金額をゼロにしてしまったというわけです。


 ここで、皆様は「そんなの考えなくても、赤と緑のマークを見ればすぐに分かるでしょう?」とおっしゃると思います。でも、『赤色のストップマーク』と『緑の矢印』の位置が低くて・・・ボクたちには、これらの表示がまるで見えなかったのです。写真ではよく分かるのですが・・・


 ここで、日本の自動改札機と比べてみましょう。日本にもいろんな自動改札機があると思いますが、⑦番の写真は、JRさんのウエブサイトに載っていたものです。これには、両側に入場用と出場用のタッチパネルがあります。誰かが入場用のタッチパネルにICカードをタッチすると、出場用のタッチパネルが消灯し、出場者側のICカードが読み取れなくなるのです。つまり、日本の自動改札機だと、眼の前のタッチパネルが消灯しているかどうかで、ICカードが読み取れるかどうかを判断することになります。そして、間違って、消灯している箇所にICカードをタッチしてもカードを読み取らないだけで、カードのチャージが消えることはありません。


 一方、韓国の自動改札機は・・・近況ノートの⑧番を見てください。これは、⑥番の写真を拡大したものです。写真の中の(1)が『緑の矢印』、(2)が『赤色のストップマーク』、(3)の山になっている部分がICカードをタッチするところです。こちらは、日本とは違って前記のように『緑の矢印』か『赤色のストップマーク』かで、ICカードが読み取れるかどうかを判断するわけです。そして、たとえば、これから電車に乗る乗客が、間違って『赤色のストップマーク』の改札にICカードをタッチすると、電車に乗ったものと判断されて、カードのチャージが消えてしまうのです。


 どうですか? 日本と韓国では自動改札機のシステムがだいぶ違っていますよね。


 ボクたちはこういった違いに気づかず、日本の自動改札機の感覚で「とにかくICカードをタッチすればよい」と思って、『赤色のストップマーク』の改札にICカードをタッチしてしまったのでした。


 これで謎は解けました。もう、消えたお金は返ってきませんが(笑)・・・


 でも実を言うと、ボクにはまだ少し謎が残ったのです。


 前記のように、ボクは韓国に単身赴任していたとき、何度かソウルに仕事で出張しました。そのとき、地下鉄にも何度か乗ったのですが、今回のようなことは一度も経験していないのです。


 じゃあ、今まで、ボクがソウルの地下鉄に乗ったとき、ボクはどうしていたのでしょうか?・・・


 しかし、ボクには特にどうしたといった記憶が全くないのです。ボクは、無意識に『緑の矢印』と『赤色のストップマーク』を判断して、『緑の矢印』の自動改札機を使ったのでしょうか? でも、それなら、『乙支路入口ユージロ イルグ駅』でも『緑の矢印』の自動改札機を使うはずですよね・・・


 しかし、これでやっと地下鉄に乗れるようになったわけです。ボクたちは『緑の矢印』の改札口から駅の中に入り、地下鉄で『乙支路入口ユージロ イルグ駅』から『安国アング駅』に向かいました。残りの若干の疑問を抱きながら・・・


 ボクの残りの疑問は目的地の『安国アング駅』で解けました。


 『安国アング駅』に着いて自動改札機を見たとき、ボクは「あっ」と声を上げてしまったのです。なんと『安国アング駅』の自動改札機は、『乙支路入口ユージロ イルグ駅』のものとは違っていたのです。


 ここで、次の近況ノートをご覧ください。URLはこちらです。

 https://kakuyomu.jp/users/azuki-takuan/news/16817330663975732350


 ⑥番は今までご覧いただいた『乙支路入口ユージロ イルグ駅』の自動改札機です。⑨番が『安国アング駅』の自動改札機です。どちらも自動改札を出たところから撮っています。いかがですか? 皆様、違いがお分かりになるでしょうか(笑)?


 次の⑩番は⑥番の『乙支路入口ユージロ イルグ駅』の自動改札機を拡大したもので、⑪番が⑨番の『安国アング駅』の自動改札機の拡大です。


 まず、⑩番の『乙支路入口ユージロ イルグ駅』の自動改札機を見てください。(3)の山になっている部分がICカードをタッチするところで、(4)が液晶の表示部です。(4)は(3)の前後にあります。前回記載しました『チャージ額がゼロになりました。カード保証金返還機で保証金を受け取ってください。』といった表示はこの(4)の部分に出たわけです。


 この構造だと、『赤色のストップマーク』が点灯していても、改札機のこちら側から容易にICカードを(3)にタッチすることができますね。


 では、次に⑪番の『安国アング駅』の自動改札機を見てください。(3)のICカードをタッチするところは同じですが、液晶表示部が全然違っています。『安国アング駅』の『緑の矢印』が点灯している自動改札機では、液晶表示部が(5)のように改札機ので起き上がっています。一方、『赤色のストップマーク』が点灯している自動改札機では、液晶表示部が(6)のように改札機ので起き上がっています。

  

 こういう構造だと、『赤色のストップマーク』が点灯している場合、(6)の液晶表示部が邪魔になって、改札機のこちら側からICカードを(3)にタッチすることができないのです(もちろん、無理やりやろうとすればできますが・・・)。


 このため、『緑の矢印』と『赤色のストップマーク』が見えていなくても、こちら側からICカードがタッチできるのは、自動的に『緑の矢印』の自動改札機だけになるのです。


 これで分かりました。ボクが今までソウルで利用してきたのは、この⑪番の『安国アング駅』の自動改札機のタイプだったのです。このため、ボクは『緑の矢印』と『赤色のストップマーク』を意識しなくても、今まで無事に地下鉄を利用することができていたというわけです。


 以上をまとめますと(笑)・・・『乙支路入口ユージロ イルグ駅』の自動改札機でICカードのチャージ額が消えてしまったのは、次のような理由となります。


〔理由1〕他の駅の『赤色のストップマーク』が点灯している自動改札機では、液晶表示部が障害になって、こちら側からはICカードがタッチしにくい構造になっている。しかし、『乙支路入口ユージロ イルグ駅』の『赤色のストップマーク』が点灯している自動改札機では、障害となる液晶表示部がないので、こちら側からICカードを容易にタッチすることができる構造になっている。


〔理由2〕このため、ボクたちは、間違って『赤色のストップマーク』の自動改札機にICカードをタッチして、チャージを消してしまった。


 で、前回、どうしてICカードのチャージが消えてしまったか、皆様にクイズを出しましたが・・・〔理由2〕が答えです(笑)。


 でも、皆様は、近況ノートの写真を見られて、とっくに『赤色のストップマーク』に気づいておられたことと思います。このため、「ボクたちが『赤色のストップマーク』に気づかず、ICカードをタッチする」なんてことがあるとは想像もされなかったのではないでしょうか? これはクイズの出し方が悪かったですね。ごめんなさい。_(._.)_


 さて、最後にひとこと・・・


 何でも日韓を比較するわけではありませんが、日本ではICカードを間違って自動改札機にタッチしたり、あるいは差し込んだりしても、チャージ額がゼロになることはありませんよね。


 韓国方式の「間違ってタッチするとチャージ額がゼロになる」というのは、何とかならないものでしょうか。。。


 まあ、韓国の地下鉄料金は日本と同様に安いので、実害は大きくないのですが。。。


 ちなみに、日本に帰ってから、ネットで韓国の地下鉄の乗り方を調べてみたのですが・・・『緑の矢印』と『赤色のストップマーク』のことは、ボクの調べた範囲ではどこにも記載がありませんでした。


 こんなことは書かなくても常識だということかも分かりません。。。


 あるいは、当時の『乙支路入口ユージロ イルグ駅』の自動改札機だけが特別変わっていたのかもしれません。。。


 とにかく、皆様も韓国で地下鉄に乗るときにはお気を付けください。


 さて、『一難去ってまた一難』といった感じのアホバカ夫婦も、次回からいよいよ仁寺洞インサドンを観光しまぁす!

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