遺言書

霧裂 蒼

遺言書

拝啓 この手紙を読んでいるあなたへ

 あなたがこの手紙を読む時は、恐らく私の死の後じゃないでしょうか。どうせ死ぬと決めたので、遺言書らしく自分語りでもしながら死ぬ理由でも書いておこうと思います。矛盾だらけだろうし、文も変でしょうが、遺言書くらいは自由に書かせてください。


 結論から言うと私がこの世界に合わないからです。なんもとなめた理由だとか思われるかもしれません。しかし別になめてるわけではありません。それにこの世界が私に合わないのではないんです。私が、私という人間が、この世界という構成に合わない気がしてならないのです。


 私の目には、この世界がなんとも矛盾だらけで、なんとも醜く、なんとも汚く、なんとも馬鹿らしく見せるくせに、変なところで暖かみが垣間見れてしまう様に見えます。ニュース、ネット掲示板、耳に入る噂。それらに触れる度体感します。


 日々悪口が飛び交っては誰かを傷付け、正当な理由を持ってして同じ悪口で報復行為を行う人間達。そんな人間に便乗し関係がないのに関わっていく別の人間達。私はそんな人間が正直嫌いです。関わりたくもないです。触れたくもないです。しかしこんなことを書いたり言ったりしている時点で、私もそんな人間と同等なのです。それを否定するつもりはありません。


 だからといって自分が嫌いになることもありません。何故か。それは私が少し変わったような考えを持っているからですかね。


 それは一秒でも過去の私は、今この瞬間の自分とは精神的に別の存在であり、私というものではないという考えです。私は今この瞬間しか自分と認識していないのです。過去の私は肉体的に同じ自分であり、精神的に別人だと感じているのです。だからこそ私は自分が嫌いにならないのです。


意味が分からないでしょうか。私も完全に分かっているわけではないのです。あくまでも感覚的に分かった気になっているだけなのです。


 さて、先に書いていた私が見える世界について話を戻しましょう。私がこの世界をその様な目で見る理由。それは同じく先に書いた悪口を言う人間等がいるからでしょう。しかし、変なところで温かみな垣間見れるとも書いたのは、動物や自然、人間なんかに優しくしてくれる人間が、度々私の目の前に現れてきたからです。


 まあ、悪口を言う人間や人に優しくする人間が何故そうするのはある意味宿命であると思いますが。だからこそ全ての争いを否定する世間が分かりません。理解できません。しかし自分が攻撃される側になったら、きっと争いを否定するんでしょうね。


 所詮私はそういう人間です。いや、全てとは言わずとも人間みなそういうものです。結局は自分が可愛いんです。きっとどこかにありますよねこんな文。でも、自分を可愛がるというのは生きていくなかで自分を守る手段であり、本来誰にも否定されるべきではないのでしょうね。


 しかし物事や人間というものは全てが同じでは無いのです。例外というものは確実と言いたい程の確率でいるのです。だからこそ矛盾や否定が生まれ、だからこそこんなに伝えたいことを全員に伝えると言うことが出来ないのです。書いていて思いましたが、きっと私が本当に嫌いなのは全てが絶対当てはまらないというのを理解されないと言うことなのかもですね。

 ではそろそろなんで今死ぬのかでも書こうと思います。そんなたいした理由ではありませんけど。ただ単に今死にたくなった。それだけです。


 一定の幸せが身近にあり、苦しすぎるという程のこともなく、優しい親友や理解ある親がおり、完璧とは言わずともある程度の生活水準が整っている環境のまま、死にたいのです。


 苦しんだ気持ちを抱えたまま死ぬより、幸せなままで死にたいんです。なら今が一番幸せかと言われればそうではありません。何故か。一番幸せな時は欲が勝り、まだこのままはでいたいと思ってしまうからです。後一分、後一秒といってるうちに、時間は過ぎていってしまうのです。


 だからこそ、今ある程度やりたいことがなく、ある程度幸せで、ある程度気持ちの区切りがついた今こそ死ぬのです。


 最後に、私には夢がありました。日本中の自然を一人で回って、沢山の自分が思う美しさにふれ、写真を撮り、思い出にすると言うものです。今死ねばそれが未練となり、幽霊になって回るんですかね。それはそれで楽しそうです。


 どうか私の死を哀れまないで下さい。否定しないで下さい。勝手な考えを持たないで下さい。本当に死ぬのはただ死にたくなっただけなんです。もし、今まで私に何かしらあり、この主張が強がりに思うなら、このまま強がらせてください。


 ここまで読んでくれてありがとう。書いていて思ったけれど、やはり私はどこか不確定ですね。意味が分からないとこが殆どでしょうが、あなたは理解しなくていいんです。では、行ってきます。

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