KSH_023 1○歳青毛ヤンキーワンコ 、ルア君。オスの矜恃全部奪ってメスにしちゃいました(笑)

智bet

第1話

「おい、オッサン!何触ってんだてめぇ!」


隣で立ってたノノコがスーツを着ている小太りのオッサンに向かって怒声を上げる。もうドスを効かせた声を出すのにも慣れ始めたのか、様になってるんだ。


「ガキだからってナメてんなよ!このロリコン野郎がよ!」


ノノコが上げたこの声を合図にして近くにいたツレで今日の財布くんことオッサンを一斉に囲む。


「何オッサン、ソイツうちの学校の奴なんだけど?」

「しかも中坊チューボー狙いかよ。ダッさ。」

「とりあえず次、降りろよ?連れて行っから。マジ逃げらんねえからな?」


包囲が済んだらあとは仕上げ。


「いや、私はずっと…」


オッサンに一切の弁解はさせずに周りの乗客にも聞こえるように声をかける。


「ノノコ、どこ触られたん?」

「マジありえんしコイツ!両手上げてますみたいなツラしてっけどさっきからずっとアタシに股間押し付けてっから!」


これで完了。オッサンの味方はもういない。


早朝の電車で痴漢はありがちだけど、オレたちがやるのはもちろん冤罪えんざいの方。


痴漢なんかやったやってないを証明するのも難しいんだから言ったもん勝ちだ。


「とりあえず、アンタ警察に突き出すから。その前に“弁解”の時間くらいくれてやってもいいけど?」


俺たちの後ろにいるバカ乗客たちは淫行を働いたであろうオッサンを睨みつけて、オレらのニヤついた表情なんか気にしていない。


オッサンだけがブッサイクにハメられた、というマヌケ顔をしていた。



____



改札を出て駅員室の前のトイレに連れ込む。


清掃中の看板を出して誰も入らないオレたちの個室にするのも忘れずに。


精一杯の抵抗で俺たちを睨むオッサンは、どこかもう観念している様子だ。


「じゃあもう手っ取り早く済ませちゃおっか、サイフだして。小銭くらい残してあげるから。あと会社の名刺ね。」


「キミたち…こんな卑怯な巻き上げ方なんかして、今学校に通報でもしたら…」


「ルア~、これね~」

「はいよ~」


ツレの赤毛犬、アールから手渡されたデッキブラシで思い切り肩を殴りつける。


口を大きく開けて悲鳴をあげる前に腹も蹴りあげて呼吸を妨害する。


これで、もうオッサンは叫ぶことすら不可能だ。


「オッサン痴漢なんだよ?立場わかってる?これ以上殴ったってつまんないんだから早く出して。」


うめきながら手渡された財布から、名刺を抜いて免許証撮影。


万札2枚に千円2枚。


情けないオッサンは財布もしょっぱい。


「指輪つけてるってことは家族とかいるっしょ?これに懲りたらもうやっちゃダメだよー。それっぽいこと学校に話したりしたら電話しちゃうから。」


「やってねーけど!ギャハハ!」


デッキブラシをオッサンに投げやって、


「それ、片しといてね。表の看板もね。だいたいあと15分くらいで掃除の人くっから。」


オッサンはうずくまって泣いていた。


ノノコがトドメとばかりに「ダッサ!。」と吐き捨てて俺たちはトイレを出た。


____


アールが声をかけてくる。


「ルア、結局なんぼやったん?」


「2万2千。」


「うーわしょっぱぁ!オッサンとことんクソやわ~」


「ルアと俺と、ノノコ、ロエル、ロトやろ。1人4千ぽっちやん。分けんの?」


「いやーもう、つまらんし今日もガッコ昼抜けしてカラオケ行かん?」


「まちがいねぇわ。ロトもええやろ?」


「それがいいわ。ところでアール、オッサンまた明日も同じ電車乗ってきたらどうするん?」


「いやいや、とっくに名刺から会社に連絡して全部言っといたから。多分もう会うことないで。」


「ギャハハ!えっぐ!」


「ええやん。オッサンも金もクソほどおるし。1人減ったってバレへんて。」


「間違いないわ!」


俺たち不良5人組。今日も人生絶好調!


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