第19話

「なるほどね。そういう事だったのか。お手柄ですね、ラス」

「なにがやッ!?」


ギールさんが手を叩けば、ラストンが相槌を打つ。


「聖女様は、じつに 運が良い」

「聞きぃや。そういうとこ、ギルの悪ぃとこやで。先ずは、主語。それから動詞―――」


(おぉ。なんだか、お母さんみたいだ。ちょっと 安心するじゃないか)



――突然。ラストンの唇を、ギールは そっと 唇でふさいだ。


( な、な、なんあ、、、!? )


「ラス。聖女様にアレを」

「あぁ、アレな。…って、分かるか、いまの流れでッ。ふはぁ!?」



いっけんチャラそうな彼氏。でも、その愛情はどこまでも深い――。


(ダメよ、私はノンケ。……でも、いまのは好きぃいいい。私はこれで、ご飯、何杯でもイケるぞ!)


――ヤバいな。私のBL‐eyes‐魔‐眼‐が進化していく。


私は なんて 恐ろしい女なのだろうか。


こんな私を見て、ギールさんが微笑みかけてくれる。



「聖女様は、じつに運が良い。僕たち『あやかし一族』の妖術も、こちらの国の魔法と同じように、日々進化しているのです。ラス、『きびボール』を出してください」


(きび団子? って、桃太郎に出てくる アレ のことか)



ラストンは、おもむろにズボンのチャックを下し、中からアイテムを取り出した。



「これは試作段階なので、いまは しかありません」


(うん。だろうな。…よくは知らないけど) 

腐海の知恵B L 』は 固有結界張られてる白抜きだ から。



「あの。試作というのは?」イヌカが 嫌そうな 顔で質問をした。



◇ つづく

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