【第9回カクヨムコンテスト中間選考突破!!】戦国の世の銃使い《ガンマスター》

じょん兵衛

第一部

第1話 転生、そして…

 パパパパーン!


 響き渡る軽い銃声。放たれた弾丸が俺の隠れているドラム缶にもあたっている。タイミングを見計らって撃ち返す。

 パンッ!


 カチャカチャッ・・パーン!


 うわっ!?


 よっしゃー!


 敵の歓声。

 味方が一人やられた。これでこっちはもう後俺だけだ。

 残る敵は二人。残弾数も心もとない。


 ダダダダダーーン!


 敵が残り一人だとわかってあっちは二人で弾幕を張ってきている。

 だいぶ厳しいな。

 こういう時は…待つ。あるタイミングを。


 撃ち続けていた敵2人が同時にリロードに入るタイミング。

「そこだ!!」


 隠れていたドラム缶から飛び出しできるだけ体勢を低く敵が隠れている岩に向けて全力で走り出す。


 俺が撃ち返さないのをいいことに頭を出しっぱなしでリロードしていた敵の1人に向けて愛用のリボルバーの引き金を連続で引く。


 パンッ!パンッ!


 うわっ!?


 まずは一人目。

 だが今ので残りの弾を使い切った。


 でもここで引くわけにはいかない。今戻ったところで無防備に撃たれるだけだ。


 俺はもう一人の敵の方に全速力で走りよる。そして手にもつリボルバーをそいつの頭に突きつける。


 敵はビビった顔で

「ま、参った……」


 勝った……!!


泰進たいしんはやっぱつええなぁ~」

「最後1対2なのに負けたしな」


 さっきの敵の二人から賞賛の言葉。こいつらは高校の時の同級生で、今こうして社会人になっても共通の趣味であるサバゲ―で月に1度ほど遊ぶ仲だ。


「実は最後リボルバー突き付けた時もう弾なかったんだよね。お前が降参してなかったら俺は負けてたよ」

「え!?マジかよ!?」

「よくそれで突っ込んでこれたな。俺だったら怖くて無理」

「あれ以外勝つ方法ないと思って」

「マジかよーーやられたわ」


 負けた二人がうなだれる。


「あ、じゃあ俺らはここで」


 駅前で2人と別れる。


「おう、またな」

「次は騙されねぇからな」

「本当かな~~?」

「うっせ!じゃあまたな」

「おう」


 帰る前に銀行によっていこうと思い、帰り道の途中にある銀行に入った。

 この何の変哲もない日常の一コマが俺の人生を変える。マジで。マジのマジで。


 銀行に入ってATMの方に向かったその時、後ろで銃声がした。

 俺がずっとあこがれて、海外にまで行って撃ったことは記憶に新しい。

 だがそこで撃ったものとは違うショットガンの類の銃声だ。

 って冷静に分析してる場合じゃない。銀行強盗か?


「お前ら声は出すなよ!声を出したやつはこの銃で撃ち殺す」


 顔を覆うマスクをした犯人のリーダー格の男が手にもつ銃を見せつけるように威嚇してくる。

 ってそんなことよりあの銃は・・・!

 アメリカのMPS社が開発したショットガンにしては珍しいフルオート射撃機構を搭載したAA-12じゃないか!?まさか生で見れるとは・・・!!

 あっちの奴が持っているのはイタリアのフランキ社が開発したSPAS12じゃないか。よくゲームとかでも見るモデルだが実際に見れるとは・・・!!

 あ、あれは・・・!!史上最高の重機関銃と名高いブローニングM2重機関銃じゃないか!?感動だ・・・。

 あ、あ、あ、あれは!?!?!?!?

 俺の愛銃、S&W M500じゃないか!?!?!?!?

 世界最強のリボルバー!!弾丸のサイズはライフルに匹敵し、極めて高威力なリボルバー型の拳銃!!エアガンだから反動なしで撃てていたあの銃は実際の反動はやばいらしい。

 ああ、あの銃を俺も触ってみたい!!そして撃ってみたい!!


 俺は奇声を上げながら無意識にそのS&W M500を持っている犯人に襲い掛かっていた。正確にはその手に握られているS&W M500に、だが。


「うわぁ!?なんだこいつ!?」


 俺に襲われた犯人が慌ててS&W M500を発砲する。片手で。

 馬鹿だな。S&W M500は極めて反動がでかい拳銃だ。そんなことしたら・・・。

 撃った瞬間、犯人の肩が外れ、銃を落とす。もちろん俺に弾丸が当たることは無い。

 俺はそれに飛びついた。犯人に、ではなく犯人が落とした銃にだ。

 グリップを握る。本物の重み。それでいて握りやすい。俺は地面に膝をついた状態で愛銃S&W M500を堪能していた。当然その背中は隙だらけで。

 次の瞬間、俺の背中にショットガンから発射された散弾が命中し、俺は愛銃S&W M500を抱きながら力尽きた。


 それからしばらくたったようにも感じるし、すぐだった気もする。俺の目には古めの木造建築のものだと思われる天井が映っている。

 あれ?おかしいな?絶対死んだと思ったのに。愛銃と一緒に。ふと自分の腕の中を見てみる。もちろん銃はない。だが気づくべきことはそこではない。ふっくらとした小さい腕。まるで赤ちゃんのような。

 横を見る。着物を着たちょび髭のおじさんが何やらニマニマしている。俺を見てニマニマとした笑みで手を振ってくる。こいつは俺をなめてるのか?俺は25だぞ?

 そしてさらにおかしいのはこの今の俺の状況だ。白い着物を着た美人に抱きかかえられている。この美人も俺を見てニコッと微笑む。可愛い。いや、そうじゃない。なぜ抱きかかえられてるんだ?さっきも言ったが俺は25だぞ?せいぜい20代後半と思われるこの美人さんに俺が抱きかかえられるとは思えない。


 そろそろわかってきた。信じられないが部屋の様子やみんなの服装、そしてしゃべり方などで認めなくてはならないだろう。

 どうやら俺は転生したようだ。

 過去に。


 いや、おかしくない??こういうのって普通は異世界に転生するでしょ?

 だがそこは何も言うまい。神の気まぐれなのだろう。きっと。

 こうなってしまった今、俺が言うべきことはただ一つ!!


「おぎゃぁーおぎゃぁーー!!」


 こうして、俺の新たな人生は幕を開ける。





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