18:~中編~開幕の事情。
千寿「『じゃあお披露目。3Dの身体を詳しく見て紹介していきますよって』」
琥珀「『やっか?』」
満穂「『待ってましたッ!』」
[お!]
[キタキタキターッ]
[待ってました!!]
[カッコいい!]
[3Dおめでとうございます!]
[尊い・・・]
[ああ!上納金収めたいっ]
千寿の発言でコメント欄と身近な一人が大いに盛り上がる中、琥珀が画面中央に立ち、千寿達がその近くまで行く。
ちなみに
千寿「『先ず最初に全体。適当に身体を揺らしたり、ゆっくり回ったりしてみて下されっと』」
琥珀「『ん』」
千寿の言葉に従い身体を左右に揺らしたりグルっと一回転する琥珀。
更には――、
琥珀「『よっと』」
千寿「『!?』」
満穂「『!?』」
ファンサービスか上下の回転であるバク中を披露。しかも助走無し。その場での高いバク中にコメント欄だけではなく現場にいる千寿達や蛍が率いる撮影班をも騒然とさせた。
琥珀「『? んだ? 言われた通りにやったぞ? なに驚いてやがんだよ?』」
千寿「『いや……いや……”回って”の指示にバク中で答える人……や、妖怪……いやvtuber……を初めて見た』」
満穂「『はい! 頭のおかっ……個性的なライバーが多いフェレサ女でも此処まで斜め上を行く大喜利は見た事がないですっ!』」
[バク中!?]
[バク転!?]
[えええ]
[流石っす!]
[流石組長!御見それしました!!]
[流石はアスリート並みのフィジカルvtuber]
琥珀「『3Dで身体の動きがそのまま反映されるっつーからネットで見て色んなトリッキング技を覚えてきたんだが……どうやらズレてたみてぇだな』」
満穂「『色んな!? 他にも出来るんですか!!』」
琥珀「『出来るぞ。例えば――〈エアリアルツイスト〉っと。他にはちょっと習得にてこずった――〈ゲイナーシザー〉っと。こんなんとか。他にも――』」
満穂「『おぉ! おぉ!!』」
千寿「『え? 空中で踊ってる?』」
琥珀が技を見せる度に場が大いに盛り上がり、それを嬉しく感じた琥珀が更に技を披露。現場にいる満穂のマネージャーやカメラマン、延いては指揮者であるディレクターでさえ拍手や驚きの声を上げ続けた。
――で、3D体の紹介の手番が千寿に回ってきたのだが、
千寿「『はい終わり。――なにか?』」
満穂「『え? その場でクルッと横に回るだけですか? もっとこう……ド派手に回ったりとかは……』」
カンペの人【もっとやって!飛べ!!】
千寿「『飛べて……万年体育の成績は2か3ですが? 剰え期末の保険のテストで名前を書き忘れ&インフルエンザにウイルス性胃腸炎を罹った時の成績は1ですよて』」
[総大将・・・]
[おいたわしや・・・]
[不運過ぎます・・・]
[不幸のタブルコンボ]
[出席点が足らんかったと]
[まだ骨折の方が救いがあった]
[テストで名前は最後に記入する派と]
琥珀の手番が10分程だったのに対し千寿の手番は僅か1分半程で終了。その落差に満穂とディレクターが”もっと何か”と要望を出したがそれを悲しい自虐をもって一蹴する千寿なのである。
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