その3

 重たい瞼とぼんやりする頭で目を覚ますと、最後に時計を見た時から約20時間が経っていた。時間を勘違いしていないか、そもそも夢でも見ていたのではないかとしばらく頭の中を整理して、ぼやける頭を目覚めさせるために水を飲む。十分に寝たはずなのにまだ眠い気がするのは、僕の経験上大抵脱水によるものだ。水を飲んで目薬をさせば結構良くなる。


 胃に冷水が染み渡っていくのを感じながら現状の把握につとめれば、思い出したのは僕が魔法少女になったことと、元に戻った途端に凄まじい疲労感に襲われたこと。まあ、年齢も性別も全くの別人になってしまうようなよくわからない薬を飲んだのだ。聞かされていなかったとはいえ、それくらいの副作用は許容範囲だろう。


 魔法少女になったことで、やりたいことが生まれた。これまでずっと我慢してきたことで、できるなんて思ってもいなかったこと。それができるのであれば、もうこれまでの生活を続けなくてもいいとすら思える。


 一時の気の迷いのような考えなのだが、思いとどまるための心残りは僕にはもう残っていなかった。衝動に任せて管理局に連絡して、今日付で退職することを伝える。それなりに経験を積んでいたので惜しまれはしたが、つい最近そうしてもおかしくないだけの出来事があったので、特に怪しまれることなく話は済んだ。自殺だけはしないようにと念を押されたのは、それだけ最近の僕の様子がおかしかったのだろう。要らぬ心配をかけてしまったことに、少しだけ反省する。


 やりたいことは、魔法少女としての活動だ。他の誰でもなく、僕自身が魔物を倒すこと、ずっと叶わないと思っていたその夢が叶うのであれば、表向きの立場なんてどうでもいい。周囲からの認識が、家族を失ったことで精神を病んでしまった元公務員の現無職おじさんになってしまうが、目的を前に世間体なんて些細なものだ。


 変身を解く度に寝込みかねないのであれば、もういっその事ずっと男に戻らずに過ごそうかなんて考えながら、小さい体ではやりにくい家事を片付ける。もう仕事も無くなったから、その気になればいつでもできるのだが、後回しになんてしたらもう目覚めなくなってしまった妻に怒られてしまう。僕の生活習慣がめちゃくちゃになったくらいで怒ってくれるのなら、また目を覚ましてくれるのなら喜んで廃人にでもなるが、実際にはそんなことをしてもゴミ屋敷ができるだけだ。


 ようやく覚めてきた頭で携帯を確認すると、届いていたのは一件のメッセージ。ほぼ丸一日音信不通になっていたのに、それしか連絡が来ていなかったのは僕の人望のなさだろうか。いや、多分単純に連絡をとっている人が少ないだけなので、ないのは人望じゃなくて知人だろう。どちらにせよ、大して変わらないな。


 唯一のそれを確認すると、差出人は伽羅さん。内容は、忘れ物をしたから近いうちに家まで取りに来たいというもの。現在一人暮らしのおじさんの家に、うら若い少女がひとりで訪ねると言うと少々事案のように聞こえるが、元々は一緒に暮らしていた家族のようなものだ。そこに変なイベントが挟まる余地はない。


 やりたいことが出来たとはいえ、やらないといけないことはもう失った身なので、いつでも大丈夫だから好きな時に来るように伝える。直ぐに既読がついて、そこから数秒ほど遅れて玄関が開く音が聞こえた。


「おじさん、ただいま。……おじゃまします?」


 表情筋が死滅してしまったかのように、無表情の少女が当たり前のような顔をして家に入ってくる。フルーツの入った籠を下げているのはなんのつもりなのだろう。


「あぁ、おかえり、伽羅さん。帰ってくるのは全然いいのだけれど、返事を聞く前から来る準備をしているのなら、わざわざ聞く必要はなかったんじゃないかな?」


「伽羅も、最初はおじさんからのお返事待ってるつもりだった。でも、半日経っても返事来ないし、伽羅鍵もってるし、もういいかなって」


 おじさんが寝込んでいるのかと思って心配だった、と言って、僕にフルーツの籠を渡す伽羅さん。寝込んだか否かで言えば寝込んでいたので大正解だし、病人へのお見舞いであればフルーツの籠はお約束だ。ひとつだけ惜しいのは、僕が別に入院しているわけではないこと。ただのお見舞いであればフルーツよりも、消化にいいゼリーやパックのお粥などがいい。ある程度料理ができるのであれば、卵がゆなんかも定番だろう。


 そう伝えてみると、伽羅さんはさすがおじさん、と言いながらうなずく。いいこと教えてくれたお礼に、と言ってポケットからそのまま渡されたのは、いくつかの短い黄色の線香。普通なら繋がりのわからない奇行なのだが、伽羅さんが線香を使う魔法少女、イノセンス・インセンスであることを踏まえると、きっとなにか意味のあるものなのだろう。


「おじさん、最近いつもつらそうだから、ちょっとでも楽になってほしくてつくった。苦しいのが楽になる効果がある、安らぎの香、キンモクセイ」


 辛いのがなぜなのか、一体なんのせいなのかわかっているのかと、八つ当たりしてしまいそうになるのを抑える。ユウキから貰ったあのお守りを飲んでから、どうにも自分の感情が上手くコントロール出来ない。あれを飲む前であれば、せいぜい一瞬頭をよぎる程度だったはずの考えが、火薬みたいに一瞬で膨れ上がる。


「……とりあえず、ものはためし。普通に売っているものとは桁違いに効くから、ぜひキメてみてほしい」


 薬物の売人みたいな売り文句を言いながら、せっせと準備を進める伽羅さん。どこからともなく安っぽい緑色のライターを取りだして火を付け、線香立てがないことに慌てて、棚から一つの食器を取り出す。


「魔法少女の力はこんなふうに使うためのものじゃないシュポ。インセンス、気持ちはわかるけどやっぱり考え直すべきシュポ」


 シュポシュポ言いながら情けない声を出すのは、伽羅さんが火を付けたライター。インセンス・インセンスの相棒である妖精のライターンだ。なお、こちらの妖精は僕のところのカスコットとは違って純粋な心を持った優しい子である。なぜ僕のところのはよりにもよってカスコットなのかと少し悲しくなるが、考えようによってはアップルンだから気を使う必要がないのだ。


 そんなライターンの進言は伽羅さんに完全に無視されて、ちゃんと火出して、役目でしょとせっつかれる。一度着いたはずの火は、線香立てを見つける前に灰を落としてはならないと消されていた。着きが悪いとぺちぺちされているライターンは泣いてもいいと思う。唯一の救いは、伽羅さんに悪意がないことだろうか。もしかするとその方が悪いかもしれないが。


 ガス欠を疑われたライターの妖精がなんとか着火して、伽羅さんがくれた線香に再び火がついた。今度は十分に燃えたのを確認してから火が消されて、黄色い線香は先端に灰とオレンジを宿す。ふわりと広がる白い煙は、確かに気持ちが軽くなるものだ。ただの香り以上の効果がある気がするのは、これが魔法少女の力によって作られたものだからだろう。


 伽羅さんとライターンのやり取りを見ているうちにほとんど治まっていた感情が、完全に鎮静化したのがわかる。ほかとは比べ物にならないくらい効くという言葉に嘘はなかったようだ。


「おじさんに渡しておきたかったのはこれだけ。足りなくなったら、いつでも追加渡すからすぐに教えて。安眠、リラックス、ストレスの解消、なんにでも効くから、一日中焚いててもいい」


 おじさんからの連絡、待ってるねと言って、伽羅さんは自分の部屋に何かを取りに行く。そういえば元々忘れ物を取りに来ると言っていたのだと、今更思い出した。それにしても、伽羅さんのくれた線香は効き目がすごい。きっと、こんなものを渡そうと思うくらいには、気を使わせてしまっていて、僕は普通ではなかったのだろう。不思議なくらいに感情が鎮まるこの香りの中では、自分でも驚くほど素直にそう思えた。


 穏やかな気持ちで、戻ってきた伽羅さんと少し雑談をする。話の内容は、少し前にこの家を出た伽羅さんが、新しい住居でどうしているか。親代わりを全うできなくなってしまった僕の元を離れて、自立した生活を送っている伽羅さんの話を聞く。頭の中で嫌な感情が渦巻くこともなく、終始穏やかな気持ちでそれを聞けば、娘のように思っていた少女の成長に喜ぶことすらできた。


 線香を三本ほど消費する間、久しぶりにちゃんと伽羅さんと話す。明日は学校だからそろそろ帰らないとと言って、家を去った伽羅さんを見送って、しばらくすると線香の残り香も消えた。


 先程までの穏やかな気持ちが嘘のように、不愉快な感情が戻ってくる。一度落ち着いてしまったから、正常な状態に戻ってしまったからわかる、異常なまでの感情のゆらぎ。


「グラビティ!魔物の気配を察知したプルっ!急いで変身して向かうプルっ!」


 それに拍車をかけるようにかけられたのは、アップルンの声。基本的にはいらない関わりを持たないと決めた僕らだが、魔物を倒そうという思いはどちらも持っていて、それに関しては協力しようと話していた。男の姿の時は、周囲に人がいる時に話しかけてくるなとか、もう少し細かい約束事はまだいくらかあるのだが、今はそんなことはどうでもいい。


 大切なのは、魔物が出たということ。このまま自由にさせてしまえば、たくさんの人が犠牲になってしまい、僕は魔法少女としてそれを許す訳にはいかない。それならば、やることはひとつで、簡単だ。


 ユウキにもらった錠剤を、一粒取りだして飲み込む。全身が光に包まれて、まだ中学一年生の、その中でも小柄な部類の伽羅さんと同程度の身長の少女に変わる。そのまま手の中に落ちてきたアップルンをつかみ、かじりつくと口の中に甘いリンゴの味が広がった。カスコット妖精のくせに、無駄に味だけはいいのがまた腹ただしい。


 うぐっ、と苦しそうな声が自分の口元、アップルンの口から漏れるが、しかたのないことだ。変身するためには、妖精をモチーフになっている物のように使わなくてはいけない。ライターなら火をつけるし、でんでん太鼓なら鳴らすし、釘なら刺す。となれば、リンゴであれば食べるか絞るしかないのだ。かじるだけでとどめているのは、ひとえに僕の良心と効率のためである。


 変身ヒロインとしての義務である、名乗りと決めポーズをまるっと放棄して、玄関から出るとそのまま重力を操って空を飛ぶ。多数派の魔法少女達が、移動手段として車による送迎を用いることを考えれば、自力で高速移動が可能なこの魔法はやはり当たりだ。


「グラビティ、そろそろ目的地プルっ!今回の災害は規模が大きいから、気をつけるプルっ!」


 ご丁寧に教えてくれるのはありがたいが、魔物が出現するが起こると、空に裂け目ができてその周囲が彼誰時に染まる。その大きさと範囲から災害の規模は推測できるので、教えられるまでもなくわかっていた。助かったのは、災害が起こったことを知らせてくれたことくらいだ。


 全身を叩きつける強風を感じながら、時速2、300km程度の速さで飛んで、あっという間に到着したのは裂け目の真下。まともに逃げることも出来なかった人々が魔物たちのランチになっている、地獄のような光景が待っていた。


 ひとまず、宙に浮いたまま地上を観察する。地上に入間物の数は、パッと数えられる量を超えているのでいっぱい。幼稚園児みたいな感想だが、それだけの量がひしめき合っているのだ。


 中心部に限って言えば生存者がゼロなことはまず間違いなく、この量の魔物を相手に、伽羅さんたちだけでは戦いきれないのは間違いない。今はもう居なくなってしまった、もう一人の魔法少女がいても無理だっただろう。そのことを考えれば、これが起きたのが今でよかったと、僕が魔法少女になってからでよかったと思う。


 もしかすると、これもまたなのかなと考えつつ、目下の魔物たちをまとめて押し潰す。全部潰れてくれればと思ったのだが、いくらマジカルな力とはいえ出力には限界があるのか、はたまた範囲が広すぎたのか、魔物たちは多少動きが遅くなる程度で、潰れてはくれなかった。


「いくらグラビティの魔法が強力とはいえ、さすがにこの数を一気に相手にするのは無茶プルっ!もっと着実に、少しずつ減らしていくプルっ!」


 腰元で喚くアップルンにうるさいと一言文句を言って、もう一度魔物たちに目を戻す。新しい力を得たのだから、それを試そうとするのは当然のことだ。数値化されているようなものなら、もっと上手い試し方もあるのだが、魔法の力は魔法少女固有のものであり、一概に数値化するのは難しい。それならば、自分の性能を最初に確かめておくのは必須事項。幸いなことに試す相手はいくらでもいるのだから、今のうちに知っておかなくてはいけない。


 まず、単純になんでもできるわけではないことはわかったので、次はいくつかの項目に分けて何をどの程度できるか確かめる番。遅くする程度の意味があったことから、数百メートル程度の射程は確認できた。


 目下全体ではなく目に入る中でも外周部に限って円状に魔法を届ければ、小さいものであれば潰すことが出来たので、距離によって減衰しただけでないと考えられる。


 となれば、

 取ろうとしている対象の数

 対象への距離の合計

 対象の範囲

 自分と対象とを繋いだ体積


 すぐに思いつくだけでも、これくらいの可能性はあるだろう。そもそもマジカルな力を相手に理屈で物事を考えるのがどれだけ理にかなった行為なのかはわからないが、見知らぬ現象とそれを試して遊べる余裕があればとりあえず試してみたくなるのが理系の習性だ。僕は自信を持って理系を名乗るには多少頭が足りないが、それでも端くれとしては考えてみたくなる。


 そうして考えた結果わかったのは、何もわからないということ。魔法を使う前にわかるのは、なんとなくいけそう、となんかむりそうのふたつだけで、単純な距離だけに絞って試しても、いけると思った距離より近付いたところでダメだったりする。マジカルを前に科学的思考は敗北した。僕は無力だった。


 こんなの、わかるとしてもユウキくらいだろうと思考から逃げて、大人しく安全に少しずつプチプチしていると、だから最初からそうしろって言ったプルっ!とやかましい声が聞こえてきたので、腰の方をぺしんと叩いて黙らせる。科学ならいつかなんだって解決できると信じていた頃が僕にもあったのだ。無神論だった上に科学信仰まで奪われた僕に残ったのは、信仰だけだった。


 しばらく作業のように魔物を潰して、なるべく被害が広がらないように務める。作業のように、と言うとまるで簡単なように聞こえるが、世の中には神経を使う作業も沢山あって、これはそのうちに含まれるものだった。危なそうなものから優先的に、化け物を倒し続けるのだ。いくら自分の安全が保証されているとはいえ、間接的に他人の命がかかっている状況。精神的な負荷がかからないはずがないだろう。


 少しでも気を楽にするために、アップルンを相手に半ば独り言のようにそう喋っていると、それならなんで最初からそうしなかったプルっ!と言われる。自分の能力を正しく把握するのは、人命救助に関わるものとしては最低限の素養だ。出来ると思ってかえって犠牲を増やしたり、できないと思って助かる命を見捨てるのは避けなくてはならない。そしてそれを知るのは、早ければ早いだけいいのだ。


 ちゃんと理由があるなら先に言って欲しかったプル……と悲しそうな声を出すアップルンの言葉を聞き流して、最初と比べると多少だが確実に減った眼下の魔物たちを見る。裂け目から追加で落ちて来る魔物も止まった以上、あとは今出ているものをどうにかするだけだ。


 これからどうにかなりそうだと、かなり張っていた緊張の糸を多少緩めていると、どこからともなく白い煙が立ち上ってきた。いや、どこからともなくなんて現実逃避をしている暇などなく、その煙が上ってきたのは魔物たちの外周部。まだ届いていないのに想起される沈香の香りは、魔法少女イノセンス・インセンスによるものだ。


「管理局の魔法少女が到着したプルっ!これで事態もよくなるプルっ!」


 助かった!とでも言いたげな、やたらと明るいアップルンの声。普通の妖精ならともかく、僕にはアップルンがそこまで現状を悲観しているとは思えない。だって、既に災害は収束に向かっていて、あとは時間が経てば僕が解決できるのだ。そこに空も飛べない魔法少女が二人増えたところで、地面を埋め尽くす魔物を相手に意味があるとは思えない。


 違和感があった。むしろ、違和感しか無かった。ただ所属の違う魔法少女がブッキングしたとか、一人で大変そうだから助けに来るとか、そういうことが起きるような環境だったのならともかく、魔法少女の扱いは兵器だ。管理局はそんな兵器を運用するためにあるわけで、妖精たちの協力もあって一箇所に兵力を集中させすぎるなんてことはしない。もちろんそうする必要があるような事態になれば話は別なのだが、今回はその例には含まれない。つまり、


「アップルン、これはどういうつもり?この場所にあの子たちが来たところで、危険にさらされるだけだってことくらい理解しているでしょ?」


 この、わざとらしく喜んで見せているカスコットが、なにかロクでもないことを企んでいるということに他ならない。


「プル?グラビティが何を言っているのか、アップルンにはわからないプルっ!他の子達が助けに来てくれてよかったプルっ!」


 白々しく無邪気な妖精の振りを続けようとするアップルンのことを掴んで、目の前に持ってくる。怒りを込めながらふざけるなと言えば、アップルンは心底面倒そうな顔をしながらため息をつく。


「グラビティ、アップルンたち妖精にはいくつか役割があるプル。一つは魔法少女を変身させること、一つは魔法少女たちを傍で監視すること、そして魔法少女たちが、少女として暮らせるようにサポートをすることプル」


 アップルンは4本しか生えていない指を三つ立てて、幼子に言い聞かせるように一本ずつ畳みながら話す。


「一つ目は説明の必要もないプル。二つ目は、魔法少女管理局と協力していることプル。ほとんどその危険はないとはいえ、魔法少女は少女かつ兵器プル。感情に任せて暴発してしまったり、よからぬ道に向かうこともありえないとは言えないプル」


 一つ、二つと折られた指は、残り一つ。


「三つ目は、魔法少女が普通の少女として暮らせるように、私生活から恋の悩みまでなんでも相談に乗ることプル。少女たちに相談できる人がいなければそれを作れるように環境を変えて、普通の人として過ごせるあいだは真っ当な生活をおくらせることが役目プル。これは契約上、グラビティにどんな事情があってもアップルンには付きまとう問題で、要はグラビティの心が癒されるまで、アップルンは面倒を見なきゃいけないプル」


 つまり、僕はオトモダチを作らないといけなくて、そのために魔法少女たちを呼んだのだと。普通に話させようとしても聞かないだろうから、いやでも会話をしなければならない状態に持ち込んだのだと、アップルンは言った。


「さあグラビティ、こんなところでおしゃべりしている時間はないプルっ!早く魔法少女たちのことを助けて、仲良くなるプルっ!」


 ふざけた理由だ。オトモダチになるため、そんな理由で、彼女たちは死地に追いやられたのだ。しかし、どれだけ理由がふざけていようとも、今少女たちが僕のせいで危険な目にあっていることに変わりはない。


 真っ当な大人として、いや、そうでなかったとしても、助けないなんてことはできないのだ。

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