僕たちは冒険者になる

@tkman

第1話 4人で

僕の名前は、ビューハルト・アバンティ。

カリナナという大きくはないけど、小さくもない街で暮らしている。

製糸と機織りを主な産業としている街で、それなりに栄えていると言っていい。

僕は、そんな街で学校に通いながら楽しく毎日過ごしている。

「うっす、ビュー。」

「あ、おはよう、カイン。」

通学中の僕に話しかけてきたのは、幼馴染の1人カイン。金髪に赤い瞳。そんなカインに、僕は答えは分かり切っているけど、一応放課後の予定を聞いてみる。

「今日も学校終わったら行くの?」

「当たり前だろ、ほかにすることもないしな。」

「たまには授業の復習でもしたら?もうすぐ試験だよ。」

「俺たちは将来学者様になるわけでもないんだぜ、学校の勉強より大事なことがあるだろ?」

ふんっと鼻を鳴らしながらカインは言う。

「朝からまたそんなこと言って、勉強もしないとまたお父さんに怒られちゃうよ?」

「おはよう、スーベリア。」

「なんだよ、朝っぱらから嫌なこと言うなよ。」

カインの横に並びつつ、話しかけてきたのはもう1人の幼馴染、白っぽい長い銀髪に青い瞳の少女、スーベリアだ。そして、その横に並んで歩くのが3人目の幼馴染、短めで前髪が目にかかりそうな茶色の髪に、黄色っぽい瞳の女の子、あんまりしゃべんないけど、いつもニコニコ笑っているコラルだ。僕たち4人は家が近くて年も同じだったから、小さい頃からいつも一緒にいた。

「お前ら、今日も放課後は湖のほとりに行くからな。」

「また冒険者ごっこ?私今日は試験勉強したいかなぁ。」

「ばかやろう、俺たちは将来冒険者になるんだから、試験勉強より冒険者のことを勉強する方が大事にきまってんだろ!」

「でもさ、冒険者になるけど、魂の儀を受けるまでまだ5年もあるでしょ?やっぱり学校の勉強も頑張らなきゃじゃない?」

「うぐっ。」

スーベリアに正論を言われ、カインは口を噤む。僕はスーベリアに乗っかることにして、

「僕も今日は勉強する。冒険者になるまでまだまだ時間があるし、それこそ焦らず勉強すればいいかなって思うし。コラルはどう?」

そう言うと、コラルはニコニコしながら頷いた。

「はい、私とビューとコラルは勉強で決定!どうせならみんなでやろ!放課後我が家に集合ね。」

「いいね、スーベリアとコラルは勉強も得意だから、いろいろ教えてもらえると助かるし。」

「さて、カインは1人湖かな?」

スーベリアに言われ、言葉に詰まったカインはため息をつきつつ、

「分かったよ、俺も今日は勉強する!その代わり試験が終わったら湖に通い詰めるからな!」

「うん、通い詰めるかはあれだけど、冒険者のことを勉強したいのは私もだし、試験が終わったらまた行こう!」

「通い詰めたら、ジルさんもさすがに迷惑じゃないかな。」

「いやいや、あの爺さんは、冒険の話がしたいし、いろいろ教えたくてしょうがないんだよ。何度行ったって嫌がるなんて絶対ないね。」

まぁ、それについては僕もそう思う。湖のほとりに住むジルさんは、元冒険者。カインの父親の知り合いらしく、僕たちはよくそこに行って冒険や、ギルドの仕組みの話を聞いたり、道具の使い方を教えてもらったり、ジルさんと一緒に湖の周りを冒険者気取りで散歩したりしている。

カインのお父さんは現役の冒険者で、僕のお父さんも冒険者だった。だから、小さい時から僕とカインは冒険者に憧れていた。一緒に過ごすうちに、僕たちの影響か、スーベリアもコラルも冒険者を目指すようになった。

15歳で成人したら僕たちは冒険者になる。

それが僕たち4人の夢、夢というよりはしっかりとした目標だったんだ。

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