七色の怒れる魔女

よもぎパン

プロローグ


 東の空に日が昇る。夜明け前の空が滲むように白んでいくのを見つめながら、少女は小さく息をついた。

 穏やかな気候が続く、九月。北西の山間に位置するこの小さな村は、季節の巡りが一足早い。冷たくなり始めた朝の空気が、そばかすの散る少女の頬を薔薇色に染める。

 村の境界線にある簡素な柵から手を離し、少女は踵を返した。編み上げのブーツの下で荒い砂がざりりと音を立て、スカートがやわらかに舞う。

 東の空に日が昇っていく。

 生まれたばかりの太陽に照らされた少女の髪が、きらきらと七色に輝いている。



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