第20話 廉くんと2人きりのお泊まり(日高瑠璃編)

「じゃあ、今日は私が泊まるからね♡」


「ほ、本当に泊まるんですか…」


「もちろん! 廉くんのことが心配だし!」


「大丈夫ですよ、今までもこんなことがなかったわけじゃないですし…」


「それでも! 何かあってからじゃ遅いんだよ! まだ敵がどんな人物なのかも分かってないし…」


「敵って大袈裟な…」


「大袈裟じゃないよ! 本当にまだ何も分かってないんだから!」


「まぁ、何かわからないから怖いもんな」


「それじゃあ、ご飯、どうする?」


「ご、ご飯…」


瑠璃さんがどのくらい料理を作れるかは分からないが、真珠と一緒に作ったカレーはギリギリ食べるものだったから、不安がある。


「どうする廉くん、私が腕によりをかけてご飯をつk」


「る、瑠璃さん! 今日は外食しませんか?」


一抹の不安が拭いきれなかった。




***




「ど、どこに行きます?」


「私? 私は廉くんと行けるならどこでもいいよ♡」


「そ、そうですか…」


どこでもいいが1番困るんだよなぁ。

ここの近くにあるのが、コンビニ、高校生の味方のレストラン、回転寿司、ラーメン屋ぐらいだ。とりあえずコンビニとラーメン屋はないか…

高校生の味方のレストランと回転寿司で迷った挙句…


「レ、レス…回転寿司に行きましょうか」


「お寿司! 私大好きなの!」


よ、良かった。喜んでくれたみたいだ。レストランって言ってたらどうなってたんだろう…




***




「いらっしゃいませー」


「2人です」


「2名様ですね、カウンター、テーブル席がございますが…」


「瑠璃さん、どうします?」


「カウンターで!」


「カウンターですね、こちらへどうぞ」


カウンターに通され、当たり前だが隣同士に座った。これを狙ってカウンターにしたのは…考えすぎだろうか。


「こちらのタッチパネルでご注文ください」


「はい、分かりました」


「じゃあ、頼みましょうか」


一つの席に一つタッチパネルが用意されているのでそれで注文する様だ。

タッチパネルを触ると画面が明るくなり、お寿司の画像が映し出される。

どれも美味しそうだ。

何から頼もうかと思っていたのだが…


「んー? 壊れちゃったのかなぁ?」


瑠璃さんが何度も画面を触るが、画面が明るくならない。

充電でもきれてしまったのか、もしくは壊れてしまったのだろうか。

とりあえず店員さんを呼ぼうとベルを鳴らすのだが…

来ない…何回鳴らしても来ない…


「し、しょうがないね。廉くんのタッチパネルで頼んでもいい?」


「まぁ、店員さんが来ませんからね」


「んーとねぇ、私…」


一つのタッチパネルを2人で見ているのでどうしても距離が近くなってしまうのは当然なのだが、にしても距離が近い! もうモロに瑠璃さんの胸が僕のタッチパネルを操作している右腕に乗っかっている! 


「る、瑠璃さん…胸が当たってるんだけど…」


「当ててるんだよ、廉くん♡」


少し腕をずらして当たらないようにするのだが、瑠璃さんはさらに距離を詰めて胸を当ててくるので、僕は諦めて注文をする。


「私、サーモンと中トロ」


「す、すみません! なんて言いましたか?」


「サーモンと、ちゅうトロね♡」


「サーモンと中トロですね」


瑠璃さんの分のサーモンと中トロと自分の分のマグロとカツオを頼んで、注文を確定する。

『ご注文ありがとうございます』の文字が出た。これで注文ができたらしい。


「………ねぇ、廉くん。廉くんってもう経験とかある感じ?」


「っ!? ゴホッゴホッ!」


急にそんなことを聞かれたので飲んでいたお茶を少し吹き出してしまった。


「ご、ごめんなさい、そんな驚くと思ってなくて」


「け、経験って…」


「もちろん、エッチの…」


「な、ないですよ…」


「本当? 本当に? 真珠ちゃんと一回もヤったことない? 本当にそう言い切れる? 絶対にヤったことないって言い切れる? だって許嫁がいたんだよ? 本当に? 本当にそう言い切れる?」


「い、言い切れます。経験はありません」


「そうなの? 本当に?」


「本当です」


「そう…あっ! お寿司来たよ! 食べよ!」




***




「もうお腹いっぱいだよー、もう入らないよ」


お寿司をたらふく食べ、お腹もいっぱいになってきた頃。


「すみません、ちょっとトイレ行っていいですか? お茶飲みすぎちゃって」


僕はトイレに行きたくなってしまい、カウンターを離れた。

これが後々、後悔することになる。


「うん! 行ってらっしゃい! デザート頼んでもいい?」


「いいですよ、自由に頼んでください」




***




「すみません、瑠璃さん」


トイレから帰ってきた僕は最後にデザートでも頼もうと思い、タッチパネルを操作する…


「瑠璃さん、お茶いれてくれたんですか?」


「うん! コップ空っぽだったからいれちゃった。迷惑だった?」 


「いえ、ありがとうございます」


僕は瑠璃さんに感謝し、お茶を飲む。

タッチパネルでチーズケーキを頼み、来るのを待t

ん? あr…なんdk…きゅうn…ねmk…n…


「ごめんね、廉くん。どうしても不安なの」


「る、るr…s…」

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