第9話 住所を公開した事はない

窓から差し込む太陽の光、清々しいほど涼しい風、その風にのり、ほのかに香る味噌汁の匂い、ん? 味噌汁の匂い?


「おはよう、廉くん」


「あぁ、りん先輩、おはようございます…」


「廉くん、朝ごはんできてるよ」


「あ、ありがとうございますって………りん先輩!?」


何でりん先輩が家の中に!? というか鍵は? 僕の家って鍵なかったけ!?


「おはよう、あなた」


「おはよう…って、何で真珠もここにいるんだよ! というかりん先輩はどうして僕の家に!?」


「えっ? だって廉くんの朝ごはん作るために…」


「ど、どうして僕の朝ごはんを?」


「私が頼んだのよ」


横から真珠に言われる。


「ん? どういうこと?」


「あなたが知っての通り、私は料理が下手だわ、そこで彼女、りんさんに頼んだら快く引き受けてくれたのよ」


「あぁ、そういうこと…じゃない! 真珠! なんて事、りん先輩に頼んでるんだ! りん先輩も朝早く家に来てご飯作るなんて何で引き受けたんですか!?」


「いいよ、いいよ、大丈夫、私がやりたいだけだから…」


「そういう事じゃないんですよ! りん先輩だってこの後学校あるでしょう!」


「大丈夫だよ、廉くんの役に立てるんだったら、私、何でもするからね! 


学校遅れても気にしないからー、と言っているがそれもヤバいのだがそれよりも、ものすごいデジャブを感じた。


「真珠…もしかして…」


「あぁ、言い忘れてたけど、りんさんも私たちと手を組んだから」


「やっぱり…」


「ほら、早く食べて、美味しくできたはずだから」


りん先輩に言われ、テーブルの上に準備されている、朝ごはんを食べる。

その味は…


「………美味しい」


美味しかった。真珠には悪いけど、すごく美味しかった。


「そう、良かった! まだまだあるから、どんどん食べてね♡」


りん先輩にそう言われ、朝はあまり食べられなかったのだが、今日はご飯をおかわりしてしまった。そして学校に行く準備もし(真珠とりん先輩に見られながら)、さぁ、出発するかというところで、


ピーンポーンとインターホンが鳴る。


「はーい」


こんな朝早くから誰だ? 真珠たちが来てるから瑠璃さんかな? けど瑠璃さんだったらインターホン押さないで入ってくると思うしなぁ、と思いながら、ドアを開けるとそこには…


「おはよー、廉くん♡ 一緒に学校行こう♡」


そこには高校初日で僕に告白してきた高浜さんがいた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る